米国はコロナの集団免疫を獲得できない、元FDA長官が発言

スコット・ゴットリーブ博士(Zach Gibson/Getty Images)

米国の2月以降の新型コロナウイルスの新規感染者数の大幅な減少は、明るい兆しではあるものの、米食品医薬品局(FDA)の元長官のスコット・ゴットリーブ博士は、米国はこのウイルスに対する集団免疫を獲得できないかもしれないと述べた。

「私はこの国が完全な集団免疫に到達するとは思わない」とゴットリーブは、2月21日のCBSの番組「フェイス・ザ・ネイション」で語った。子供たちへのワクチン接種について尋ねられたとき、彼は詳細な理由を説明せずにそのように述べた。「この病気は、はしかや天然痘とは異なっている。コロナは今後も低いレベルで循環し続けることになるだろう」

集団免疫に達するまでにどれだけの人がワクチンの接種を受ける必要があるか、もしくは、ウイルスに感染する必要があるかについての推測は様々だが、米国の感染症対策の専門家のトップのアンソニー・ファウチ博士は12月に、人口の90%に達する可能性があると述べていた。

他の研究の中には、今後もワクチン接種が増え続けていけば、米国では早ければ5月にも集団免疫が達成できることを示唆するものもある。

ただし、ゴットリーブ博士は直近の未来については「楽観的」だと述べた。ワクチン接種率の上昇と米国民の3分の1が既にコロナウイルスに感染しているという事実から、全ての人々が完全な免疫を獲得していない場合でも、新規感染者の数は今後も減少し続けることが予測できると博士は指摘した。

米国における新規感染者数は、1月初旬に1日当たり約25万人だったが、このところはペースダウンして10万人を割り込む日が続いている。「新型コロナウイルスは米国に悲劇的な被害をもたらしたが、私の見解では今は、楽観的であるべきだ」とゴットリーブは述べている。

一部の専門家は、米国人が集団免疫を獲得できない場合、新型コロナウイルスは季節性のウイルスとして残り続けることになると予測している。ジョンズ・ホプキンス大学によると、米国では累計約2800万人がウイルス検査で陽性反応を示しており、世界全体で確認された感染者数の約4分の1を占めている。

編集=上田裕資

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