ジントニックの絵文字求める署名運動、ジン好きの英国で始まる

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英国とジンには長い歴史がある。始まりは1600年代後半、イングランド王ウィリアム3世が、フランス経済を破綻させるために同国産コニャックとワインの価格をつり上げ、蒸留酒に対し減税を行ったことだった。これにより、ジンの価格はビールよりも安くなった。

1730年代になると、ロンドンのテムズ川沿いにはジンとジンジャーブレッドの露店が立ち並ぶようになった。ジンはまた、ビールよりも輸送に向いていたため、海軍でもよく飲まれた。これに遠征先でのマラリア予防のため用意されていたキニーネを混ぜ、さらに壊血病予防のためのライムを加えたことで、ジントニックが誕生したと言われている。

1750年代半ばになると、国民のジン摂取量が増え過ぎたことで、公衆衛生上の危機にまで発展。ジンによる人々の退廃を描いた画家ウィリアム・ホガースの絵画『ジン横丁』(1751年)が注目を集めたことで、「ジン法」が制定された。同法により蒸留酒の価格は引き上げられ、ジンの消費が減ったことで、以降はビールが主流になった。

しかし、ジンは今でも英国で人気があり、2019年には8300万本が消費された。ジントニックを23億杯以上作れる量だ。英国が輸出するジンの量はビールの輸出量を14%上回る。ジンの輸出量は英国が世界1位だ。

そうした英国のジントニック愛をアピールすべく、文字コードの世界規格であるユニコードに対してジントニックの絵文字制定を求める署名運動が今月始まった。発起人は、トニックウオーターなどの割り材を製造する企業リクシア・ドリンクス(Lixir Drinks)だ。

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現在3000種類ある絵文字の中にウイスキーやビール、ワインはあるのに、ジントニックはない。トロピカルカクテルや湯飲み、5種類の傘、9種類の本、10種類の花の絵文字があるのであれば、ジンの絵文字もあるべきだというのが、リクシア・ドリンクスの主張だ。

リクシア・ドリンクスの共同創業者ジョーダン・パーマーは、「英国のジン愛は秘密ではない。リクシア・ドリンクスがジントニックの絵文字を作るようユニコードを説得できたら、ロックダウン(都市封鎖)の中でも消費者にちょっとした喜びをもたらすことができるのではないか」と語った。

編集=遠藤宗生

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