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ファストリの躍進は今後も続くか


今後ですが、ファストリの勢いは止まらず続いていくと思います。

ファストリが拠点とするアジアは、人口の増加や所得水準の向上など市場ポテンシャルが高く、成長度合いや勢いで見ると世界ナンバーワンのエリアであると言えます。

一方で、ヨーロッパでは今回の経済ダメージがしばらく続くことが予想されます。売り上げで見ると、インディテックスはファストリより1兆4000億円近い差がありますが、近づいてくることもかなり射程圏内というか、現実的になってきていると思います。

また、インディテックスの十八番(おはこ)と言われている強い物流・ロジスティクスに対抗すべく、ファストリは、倉庫の自動化などと並行して、海外からの直貿(直接貿易)に乗り出しています。“成長痛”として混乱が起こる可能性もありますが、それを乗り越えて、収益力の向上や在庫の適正化を目指しているところです。

ちなみに、いまZARAの次のブランドで、マッシモ・ドゥッティというブランドがあるのですが、これはオフィススタイルが中心なんです。

かたや、ファストリのナンバー2ブランドといえばGUですが、GUはユニクロよりもさらに低価格でマストレンドを取り入れた商品を提供していますし、コスメなどの新しいジャンルにも力を入れています。また、台湾や中国、韓国などに海外展開しており、今後益々アジアを中心に拡大していく予定です。

このように、双方のナンバー2ブランドを見ても、GUの方がポテンシャルが高いと言えそうで、グループ全体で見たときに、やはりファストリの方がインディテックスより分があるのではないかと思います。

ユニクロの動向に見る、「ライフウェア」の真の意味


ファストリは、これまで世界一のアパレル企業を目指しており、「悲願を果たした」、と見る向きは多いと思います。時価総額世界一は、「世界で最も価値のあるアパレル企業」と言い換えることもできるため、確かに喜ばしいことです。しかし、実はいまは、「売上高で世界一」という部分はあまり重要な経営指標になっていないと思うんですね。それよりも、「世界一、社会に役立つこと」や「生活インフラになること」、「サステナブルであること」などが重要だと考えています。

今回のコロナで、ユニクロは医療用ガウンやマスク、医療従事者の方々にエアリズムを提供するなど、事業を通じてブレずに社会貢献に取り組んでいることが顕著に見えています(ユニクロ公式HP:ユニクロの新型コロナウイルス感染症への取り組み、2020年11月27日現在)。

「服の力で人々の生活に寄与する」ということも含めた、まさに真のライフウェアを提供して、「命」に寄り添うという意味と、「生活」に寄り添うという意味、両面で社会貢献していこうという思いを強く持っています。

これからは、毎年必要な分は買い足しつつ、一つのアイテムを長く大切に着るというサステナブルなスタイルが主流になっていくと思います。

そうした意味で考えると、ユニクロの服は一般的な消費財として見ると替え時がわからないくらい、非常に丈夫で長持ち、かつ肌触りや伸縮性に優れ質が良い。かつ、そうしたクオリティの高い商品が非常に手頃な価格で手に入る、というところが、いまの世の中のニーズにマッチしており、多くの人々に支持される要因になっているのだと思います。どこまで飛躍が続くか、見届けていきたいですね。

文=長谷川 寧々 

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