テクノロジー

2021.02.20 08:30

「永遠に残る」化学物質、ナノテクと微生物で分解を目指す

Oscar Wong / by Getty Images

Oscar Wong / by Getty Images

ここ数カ月で、複数の企業が食品パッケージから「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」を排除する計画を発表している。永遠の化学物質とは、人体に蓄積するおそれがあり、環境中で分解されない物質のことだ。
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永遠の化学物質の分解には、ナノテクノロジーと微生物を利用した新たな処理プロセスが効果を発揮する可能性がある。現在、ピッツバーグ大学とニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者がその仕組みの解明に取り組んでいる。

永遠の化学物質とは何か?


「永遠の化学物質」とは、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)と呼ばれる有機フッ素化合物の総称だ。これらの物質は食品パッケージなどの製品の製造に使われており、食品に用いられる一部の段ボールや包装紙に含まれている。

食品に触れる用途でのPFASの使用が認められている例をまとめた米食品医薬品局(FDA)のリストには、レンジ調理用のポップコーン袋や、テイクアウト容器などの項目が含まれている。
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PFASが使われるのは、中身がくっつかない性質と、水や油脂をはじく特性が理由だ。だが、PFASがパッケージから食品へ移る可能性があることは、FDAも認めている。つまり、パッケージが食品に触れると、PFASが食品に入りこみ、それを人間が食べる可能性があるということだ。

米環境保護庁(EPA)は、PFASが健康に悪影響を及ぼすおそれがあると説明している。PFASにより、生殖、発達、腎臓、肝臓などに問題が生じるリスクが高くなる可能性がある。また、さまざまな種類のがん、低出生体重児、甲状腺ホルモンの乱れ、免疫システムの障害につながるおそれもある。

PFAS使用の段階的廃止


FDAは2016年、すべての長鎖PFAS(8個以上の炭素原子を持つPFAS)について、米国における「食品に触れる用途」での使用を段階的に廃止すると決定した。このFDAの決定は、長鎖PFASが動物や人体に害を及ぼす可能性を示した研究に基づいていた。

長鎖PFASにかわって用いられるようになったのが、7個以下の炭素からなる短鎖PFASだ。しかし、短鎖PFASの安全性や、健康と環境に対するその影響については、依然として懸念が残っている。

FDAは2020年、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)と呼ばれるタイプの短鎖PFASとその健康リスクに関するデータを公開した。このデータの公開後、企業3社が2021年から6:2 FTOHの使用を自主規制し、段階的に廃止することに合意した。ここで注意すべき重要なポイントは、ほかのタイプの短鎖PFASの製造と販売は現在でも続いていることだ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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