「永遠に残る」化学物質、ナノテクと微生物で分解を目指す

Oscar Wong / by Getty Images


企業の対応


一部の企業は、自社製品からPFASを排除することを決定している。アマゾンはPFASを含め、安全性に懸念のある化学物質を「アマゾン・キッチン(Amazon Kitchen)」ブランドの製品と食品パッケージに使用することを禁止した。アマゾンは、ほかの製造業者に対しても、そうした化学物質の使用を避けるように推奨しているが、同社が規制できるのは、自社プライベートブランドの製品だけだ。

マクドナルドも、2025年までにパッケージからすべてのPFASを排除する計画を発表している。同社はすでに、長鎖PFAS、BPA/BPS、フタル酸エステルなどの化学物質を食品パッケージで使用することをやめている。

希望のもてる最新研究


PFASをめぐる懸念のひとつは、人体や環境中にいつまでもとどまる点にある。「永遠の化学物質」は、時とともに蓄積するおそれがあり、取り除くのは難しい。PFASを含む食品パッケージは堆肥化できず、ごみ埋め立て地を汚染する。そうしたPFAS分解をめぐる問題を解決する方法を研究しているのが、ピッツバーグ大学とニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者たちだ。

この研究で焦点になっているのが、ナノテクノロジーと微生物を用いたPFASの分解だ。ナノマテリアルとPFASを反応させれば、微生物が食べられるくらいの大きさまでPFASを断片化できるかもしれない。研究の目標は、環境からPFASを除去する効率的な処理プロセスを開発することにある。

この研究で調べられているPFASは15種類だけだが、そこから得られる知見は、さらに幅広い用途に応用できる可能性がある。研究チームは、PFASの分解の仕組み、副生成物の毒性、化学物質を消費する微生物のパフォーマンスを検証する計画だ。

米国人のうち推定95%の血液にはPFASが含まれているとされている。現時点では、それを取り除く方法はない。PFASの分解をめぐるピッツバーグ大学とニューヨーク州立大学バッファロー校の詳しい研究が進めば、人体からPFASを取り除く方法の解明に役立つ新情報が得られるかもしれない。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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