Z世代の葛藤を代弁するポッププリンス、コナン・グレイの本音

コナン・グレイ

Z世代のアイコンであり、ネット発のポップスターであるコナン・グレイ(22)。

2020年3月にリリースしたデビューアルバム「Kid Krow」は全米ポップアルバムチャート初登場1位を獲得。楽曲「Heather」はTikTokから火がつき社会的な流行語に。同年10月、Spotify上での再生回数が累計10億回に達した。

さらに2021年2月19日には新曲「Overdrive」をリリース。彼が発信する「孤独」を「共感」に変える新しい価値観に引き寄せられ、アメリカのZ世代を中心に高い注目を集めているコナン・グレイは、いま変化の過渡期にある社会をどのような眼差しで見つめているのか。


子どもの頃、僕は引っ越しの多い生活を送っていました。だから、どんな環境でもいつも「新入り」。性格も内気だったから友達も少なくて、日本人とのハーフでマイノリティだからといじめられたこともあったし、当時のポップスターも自分のような見た目の人はいなかった。自分を理解してくれる人なんてずっといない、そう思っていました。

でも、僕にはインターネットがあった。15歳の頃から自分のYouTubeチャンネルに動画を投稿し始めて、そこで友達と会話するような感覚でたくさんの視聴者と出会うことができた。僕と同じような気持ちを抱えている人がたくさんいることを、インターネットと、大好きな音楽を通して知ることができたんです。

動画を投稿してから学校に登校し、家に帰ったらボロいマイクとパソコン一台で曲をつくる生活を送っていた17歳のある日、ひとりベッドルームにこもってつくった“Idle Town”という曲を、インターネットに投稿したんです。すると、その一曲が爆発的に広まって、信じられないほどたくさんの人が共感してくれた。それが、いまのキャリアのきっかけです。

僕のことなんて誰もわかってくれないと思っていたから、音楽を通して人に受け入れられ、同じ葛藤を抱えている人たちとつながれると気づいたときから、自分自身もいろいろな声を聞くようになり、広い物事に関心を持つようになりました。

僕たちは、変化を起こすことができる手段を、生まれつき与えられている唯一の世代なのです。

自分の声なんて、広大な海の小さな波のひとつに過ぎないと感じるかもしれない。しかし、あなたが気づいていないだけで、共感をしてくれる人はたくさんいるはず。勇気を出して声を上げれば、応援してくれる人や一緒に戦ってくれる人が必ずいると、17歳で実際にそれを経験した僕が保証します。

インターネットという非常に強力なツールを生まれたときからもち、誰よりもうまく使いこなせるZ世代だからこそ、社会をよりよくするために活用しない理由がありません。
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インタビュー・構成=竹田ダニエル

この記事は 「Forbes JAPAN No.076 2020年12月号(2020/10/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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