「この法案は、我々のプラットフォームとニュース記事のパブリッシャーとの関係を誤解している」と、フェイスブックのマネージングディレクター のウィリアム・イーストンはブログで述べた。「我々は今、厳しい選択を迫れられている。それは、現実を無視した法律に従うか、オーストラリアでのニュースコンテンツの提供をやめるかの選択だ。重い気持ちで、後者を選択することにした」
イーストンによると、フェイスブックは今後、現地の人々やパブリッシャーがフェイスブックのニュースフィード上でニュース記事のリンクを投稿できなくするという。さらに、現地メディアのニュース記事を、世界の人々が共有することもできなくなる。
間もなく成立する法案「Digital Platforms Mandatory Bargaining Code Bill 2020」は、グーグルやフェイスブックなどが、現地メディアの記事のリンクやスニペットを掲載する場合、その対価をメディアに支払うよう義務付ける内容となっている。フェイスブックは昨年、この法案が提出された時点から、反発する姿勢を見せていた。
グーグルもこの法案に反発し、一時はオーストラリアでの検索エンジンサービを停止すると脅しをかけていた。しかし、フェイスブックの発表の直前の15日に、グーグルは政府と合意を結び、17日にはルパート・マードックが運営するオーストラリア最大のメディア企業News Corpのコンテンツを、「ニュース・ショーケース」に掲載するとアナウンスした。
報道によると、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグと、グーグルの親会社アルファベットのスンダー・ピチャイらは週末にかけて、オーストラリアの閣僚たちと個別に面談を行ったという。その結果、オーストラリア政府は、当初はクリック数に応じて発生することになっていたニュースの対価を、包括的な支払いにすると述べていた。
今回の法案は、オーストラリアの独占禁止法の監督機関の調査結果に基づいて作成された。その調査で、大手インターネットプラットフォームが現地のニュースメディアの広告収入を奪っていることが明らかになったとされていた。欧州やカナダを含む他の地域でも、インターネット大手に対して、同様な措置がとられる可能性が浮上している。