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「世界のスタートアップエコシステムから見て、日本は依然として独自の規制・商習慣や言語の壁などがある『特殊市場』として捉えられがちである点は否めない。一方でこれまで大企業に留まっていた優秀な人材層の流入や、レイターステージにおける海外VCからの資金調達など、先輩起業家の積み上げてきたチャレンジが実を結び始めている。

米ナスダック市場で日本のスタートアップを買収対象としたSPAC(特別買収目的会社)の新規上場申請書類が提出されるなど、投資が集まり始める兆しも見られており、今後日本のスタートアップがより大きな資金を活用して強固な事業を築き上げ、海外展開に乗り出して日本のプレゼンスを高めていくポテンシャルは十分にあると見ている」(小梶)

競争は激化、命運を分けるのは


このスタートアップ熱は日本市場に何をもたらし、やがて終焉を迎えるのだろうか。

高宮は、今後のスタートアップ間の競争のさらなる激化を予想する。

「もともとメルカリの登場以降、日本でも数百億円の規模で資金調達をして、一千億規模の時価総額にまで成長することが可能なことが証明されていた。そこに今回のカネ余りで、さらに多くの資金が流入したことで、資金をレバレッジしたパワープレーで大きく成長するような成長戦略が可能となった。今後はどんどん多くのユニコーンが登場し、スタートアップ間の競争がさらに激しくなるだろう。資金をレバレッジしたパワープレー、規模の経済やネットワーク効果により、誰よりも早く、誰よりも大きくなるということが今まで以上に重要となるのではないか」

この状況はコロナが収束し、世界各国でマクロの景況感が回復してくると、利上げ局面を迎えるという。

「その時に、スタートアップに限らず全てのアセットクラスへのお金の流れが、いまよりは細ることになり、一定の調整局面を迎えることになるだろう。すでに10年以上の拡大局面が続き、日経平均はバブル期以来の3万円を超えた。調整局面を迎えたときに、緩やかにソフトランディングができるのか、何らかのリスクが顕在化しハードランディングになってしまうのかは、不確実性含みだろう」(高宮)

手嶋は「投資家の数も含めて資金調達手段は増えているので、起業家が選択できるという意味では良いですね。世の中には色々な歪みや無駄があるなかで、バブルと呼べるくらいたくさんの事業が起こされ、一定は価値あるものとして社会に残っているのであれば良いのではないでしょうか」と語る。

この投資熱の高まりは、多くの起業家が育つ土壌となっていくだろう。今後さらに日本発スタートアップの存在感が強まっていきそうだ。

構成=谷本有香 編集=督あかり 文=河村優

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