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一方で、小梶はスタートアップ目線では「資金調達をするのが容易になる一方、企業によっては実力値以上の高いバリュエーション(企業価値評価)がつくことによって、調達後に思うように事業を成長させられず、後々の資金調達が難しくなるケースもありうる」とも指摘する。

また、これまでのバブルとの違いについて、X Tech Ventures代表パートナーの手嶋浩己はこう話す。

「これまでとの違いは、時間軸は人それぞれなれど、長期的に見ればつじつまの合う投資が多い、ということでしょうか。資金を投下してきちんと事業アセットを積み上げている会社が多いと言えます」

この投資加熱は、実体を伴った事業内容が適正な伸びを見せた結果なのではないか。そうした点において今回の熱はこれまでのベンチャーバブルとは異なり、より大きく社会経済へインパクトを与えていくのではないかと見通すことができる。

日経平均回復の影響は?


今回の日経平均株価の大幅回復は、スタートアップ市場に影響をもたらしただろうか。

B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行はこう見る。

「出口(IPO)が好調という観点ではバリュエーションは引き続き高値傾向ではあるものの、数年後の株価リスクを踏まえ、株価の上昇はやや鈍化している雰囲気はある」

コロナ対策や長期化する金融緩和によるカネ余りを受け、上場株式は盛り上がりを見せる。一方で今後のリスクを見据え、スタートアップへの投資判断は冷静だと見られる。

「特殊市場日本」は世界でどう戦うべきか


では、世界のスタートアップにおける、日本の立ち位置はどうだろうか。

渡辺は「米中が巨大な自国市場をもちながら同時に海外へ進出し、日本をはじめ米中以外の国はどんどん席巻されている状況。今後、更に多くの分野で米中両国のプラットフォームが標準化される。日本のスタートアップは参入障壁が高い独自ビジネスで対抗すると同時に、国をも巻き込んだ形で新たなプラットフォームの育成を仕掛ける必要があるのでは」と指摘する。

具体的にどのような対抗策がありうるのだろうか。松本はこう予測する。

「ハードウェア+ソフトウェアのような産業コンテンツマーケット(アニメ・漫画のように次世代のコンテンツ)や、高齢化時代におけるヘルスケア・高齢者サポートなど日本が世界に先駆ける強みと言えるマーケットで、スタートアップが課題解決型と言えるソリューションを提供していくようになるのではないか」

一方、小梶は海外市場における日本の脆弱性を指摘しながらも、今後の成長見込みは十分だと語る。

構成=谷本有香 編集=督あかり 文=河村優

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