出張の復活は?
しかしそれでも、出張復活の見通しは明るい。これまでのデータからは、旅客機利用による感染リスクは、教会に行ったり外食をしたりといった日常生活のさまざまな活動よりも低いことが示されている。その理由としては、機内の客室には医療グレードの空気ろ過器が設置され、空気が非常に乾燥することがある。
だがそうは言われても、100人ほどの乗客と一緒に狭い空間で過ごすことを考えると、気が進まない人もいるだろう。また、ネットを通じたコミュニケーションツールを受け入れ、それに慣れてしまった人も増えている。
世界規模での景気後退は不必要な経費の削減につながり、当面の間は出張予算が削られることだろう。コロナ流行を受けたコスト削減で真っ先に検討されたのは、不動産と出張だった。
コロナ流行前は、世界の出張は増加の一途をたどり、その規模は年間1兆3000億ドル(約138兆円)に達していた。この水準への回復はおそらく、今後数年にわたり不可能だ。出張が再開したとしてもその形は変化し、1度の出張を最大限活用できるように複数の会議をまとめるといったことが必要になるだろう。
航空業界が経営立て直しのために行うと予想される値上げによっても、この可能性は高まる。航空業界団体の国際航空運送協会(IATA)によると、運賃は54%値上がりする可能性もある。
世間では概して、コロナ後の世界は以前よりも良いものになるという期待がある。出張の未来も同じで、環境に優しい飛行機や、乗り換えの利便向上といった改善が望まれている。