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人権擁護団体によれば、パキスタンでは毎年およそ1000人もの宗教的少数派(キリスト教徒とヒンズー教徒)の未成年ならびに成人の女性が、誘拐され、強制的に改宗させられ、イスラム教徒の男性と結婚させられている。

この数字はあくまでも推定であって、実際の被害者数はもっと多い可能性がある。通報されないケースが多いためだ。誘拐された女性の家族が、十分な経済力を持たない場合も少なくない。

12歳のキリスト教徒、ファラー・シャヒーン(Farah Shaheen)の事件もそのひとつだ。伝えられるところによると、彼女は2020年6月、パキスタン第3の都市ファイサラーバードで誘拐され、男3人に虐待を受けたあと、牛小屋に鎖でつながれた。

男たちは、ファラーが自らの意志で誘拐者の1人と結婚したと主張した。しかし、ファラーの家族の主張はそれとは食い違っている。ファラーは、誘拐者の1人であるイスラム教徒の男性(29歳)に何カ月も奴隷にされていた。性的に暴行され、足かせをつけさせられ、残酷な状況下で強制的に働かされていたという。

ファラーは2020年12月、警察によって救助された。彼女の足首には、足かせのせいで切り傷ができていた。ところが、警察は捜査を取りやめた。ファラーが、誘拐者と結婚してイスラム教徒に改宗したと自ら証言したというのがその理由だ。

彼女の親たちは、警察が証拠を捏造したと訴えている。書類では、ファラーの年齢は12歳ではなく16歳か17歳とされているようだ(彼女が誘拐され、結婚と改宗を強制されたときの実年齢は12歳であり、出生証明書でも確認がとれている)。ファラーの親たちは、引き続き正義のために戦い続けている。

同じような事件がどれだけ多く発生しているかを考えると、誘拐され、改宗と結婚を強制された宗教的少数派の犠牲者が正義を勝ち取れる望みはかなり薄い。誘拐され、改宗と結婚を強いられ、誘拐者に虐待を受ける宗教的少数派の女性たちを、パキスタンの警察と司法制度は放置し続けている。そうした彼らの姿勢が火に油を注ぐかたちとなって、同様の犯罪が多発する事態が続いている。

たとえば、14歳のときに誘拐されたヒューマ・ヨウナス(Huma Younus)の家族は、必死になって娘を取り戻そうとしている。この事件をめぐっては、裁判所に対して、「カトリック教徒の少女が強制された結婚と改宗」を取り消すよう申立てが行われたが、裁判所はそれを却下した。そして、少女は初潮を迎えたら結婚することができると述べた。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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