進歩が経済成長のカギを握る理由
日本の生産性は依然として低く、OECD加盟国の37カ国中21位となっています。物価の上昇を抑えることで生活の質は確保されているものの、長期的に考えると、今後働き方を変えるための対策を講じなければならないでしょう。特にパンデミック(世界的大流行)終息後の未来を築くためには、過去の慣習は一度リセットする必要があります。
経済活動においては、安定性と予測可能性が求められ、従業員が安心して働けることが重要です。しかし、採算の取れない事業を続け、成長の見込みのない仕事を強要し続けるのは、本末転倒であります。
第四次産業革命によって自動化の勢いが加速していることを考えると、未来の仕事においては、リスキリング(新たな学び)は不可欠なものになります。公共部門が提供するセーフティネットの整備と並行して、将来的に成長が見込める分野に向けたリスキリングが日本の成長戦略の鍵となるでしょう。
イメージ: World Economic Forum’s Future of Jobs Report 2020
新入社員の30%以上が就職して3年以内に退職するなど、従来の働き方自体が従業員にとっては、抑圧的になりつつあります。官僚を目指す学生の数が激減し、行政改革担当大臣が危機感を示すほどの状況です。
そして、ジェンダーパリティについては、悠長に待っている余裕はありません。
イメージ: World Economic Forum’s Global Gender Gap Report 2020
私は20年近くの間、アメリカに本社を置く企業の日本法人に勤めましたが、2000年代後半の労働力の多様化を推し進めた効果を肌で感じました。当時、ダイバーシティへの取り組みがライバル企業に比べて遅れていることが明らかになり、女性、マイノリティ、若手社員の役員登用を早急に進めました。
すべてが順調に進んだわけではありませんが、多様な人材を採用する機運が高まり、新たなキャリアパスを社外で模索する人たちも現れ、これまでは考えられなかったような従業員の多様化が生じたのです。こうしたプロセスは、一部の人にとっては一時的に苦痛だったかもしれませんが、企業のダイナミズム、経済発展、イノベーションにつながっていったのです。
少子化が進む日本では人口減少とともに、労働力の減少にも歯止めがかからない状態です。そろそろ、真剣に考えるべき時が来ています。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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