いま「コロナ離婚」という言葉もありますが、それができるようならまだ救いがあります。本当は離婚するはずだったのに、この先の生活が不安なので、一緒にいたくないのにそうできない人も多くいます。また仕事をやめようと考えていた人が、やめるリスクを考えて、そのまま働かざるを得ない状況などもあります。
このように不本意な心持ちが続くと、怒りのサイクルに入っていき、不健全な状態になります。怒りが怒りを生んでいき、ネガティブな感情の根本的なスタート地点を探すのも難しくなってしまいます。
イライラをどうコントロールするか
それでは、このような怒りにどう対処すればいいのか。アンガーマネジメントの基本は、次の3つのコントロールです。
1. 衝動のコントロール:「最初の6秒」をやりすごす
まず、湧き上がってくる感情に対しては、理性が介入するまでに数秒程度かかります。怒りやイライラが生まれたら、心の中で6秒間数えましょう。最近、問題となっているあおり運転などは、衝動がコントロールできていない典型例です。
2. 思考のコントロール:「べき思考」を緩める
次に、自分の「~するべき」という思考とどう向き合うかということが重要です。怒りの根本的な原因として自分の考えが裏切られたときに怒りが生じると説明しましたが、どこまで自分のなかでその考え方をぎゅっと握りしめて保っておくか、それとも緩めるか。そもそも本当に怒る必要があることなのか。自分に問いかけて整理してみてください。
3. 行動のコントロール:「できるものだけ」反応する
上の2点を考えたうえで、本当に相手の行動や考え方に、自分自身が関わる必要があるのかどうかさらに考えてみましょう。実は、私たちは関わらなくてもいいことにめちゃくちゃ関わっている可能性があります。
極端な例ですが、芸能人の不倫やスキャンダルに対して怒りを感じても、本来なら関わる必要はありませんよね。衝動的な反応を持ったとしても、自分の行動との線引きは必要です。怒りはエネルギーを使う行動。自分に関係ないことまで怒っていたら、ガスが溜まってしまいます。
以上の3つのコントロールが、アンガーマネジメントの基本です。とはいえ、これらが難しいという声もあります。例えば、1つ目の衝動のコントロールについて、「会話の中で黙っていたら、一方的に自分が言い負かされてしまうのでは?」と考える人もいるでしょう。
ですが、これは反射的に怒りを爆発させないための行動なので、自分自身が落ち着くためにも、少し待って理性を働かせましょう。最初からできないというのではなく、練習だと思って6秒数えるようにしてみてください。
これらのことに留意して自分の怒りをコントロールできたとしても、怒っている相手と向き合わざるを得ない状況もあります。そういった場合は、2つのことを聞きわけていく必要があります。