コロナ危機でもベビーブームが来ていない理由

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米NBCユニバーサルのデジタルニュースブランドNBCLXも、コロナによる出生率低下について調査したところ、米フロリダ州やカリフォルニア州、オハイオ州での出生率は2020年後半に5~8%低下したことが示された。

また、妊娠中絶の権利を擁護する米研究機関グットマッカー研究所(Guttmacher Institute)は、米女性の34%が新型コロナウイルスの流行を理由とし、生みたい子どもの数を減らしたか妊娠・出産の計画を遅らせている。

米国以外でも同じ現象


これは米国だけに見られる現象ではない。伊研究者のフランチェスカ・ルッピ、ブルーノ・アルピノ、アレッサンドロ・ロジーナらは、新型コロナウイルスがイタリア・フランス・ドイツ・スペイン・英国の出生率に与えた影響を調査した。その結果、研究者らは多くの人が子どもを持つ計画を延期したか、子どもの数を減らす決断を下していたと結論づけた。

南カリフォルニア大学のエミリー・スミスグリーンアウェー准教授(社会学・空間科学)はハフポストに対し、「経済の低迷や健康面の消えない懸念、医療の安全性や治療を受けられるかどうかに関する不安、学校の閉鎖などが全て組み合わさり、今はカップルにとって家族を増やしたいと思える時期ではあまりない」と述べ、「出生率がまた回復することは確かに予想しているが、出生率低下の影響を相殺できるほど急上昇するかどうかは、それほど確信が持てない」と続けた。

新型コロナウイルスの流行は、不妊治療の計画にも重大な影響を与えている。多くのクリニックは2020年を通じ、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために治療周期を先延ばしし、新規患者の受け入れを停止したことがその背景にある。

科学誌ヒューマン・リプロダクションに掲載された研究では、体外受精を既に実施した1万人近くのデータが活用された。研究者らが、治療の遅れと、クリニック再開後に実施予定の未処理案件にがもたらす影響を分析した結果、30代未満~42歳までの複数の年齢層にまたがる患者らが6~12カ月の遅れを経験していることが示された。

多くの人は、2020年が子どもを授かるのにぴったりの時期だと冗談を飛ばしてきたが、コロナ危機は出生率に長期的な影を落とすだろう。

翻訳・編集=出田静

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