<免疫に関する生活者意識調査 概要>
調査テーマ:新しい生活様式における免疫機能に関する意識調査
調査期間:2021年2月5日(金)~2021年2月8日(月)
調査対象:一般生活者6998名(男性3500・女性3489名、20代1075名・30代1383名・40代1531名・50代1357名、60歳以上1643名)
調査方法:インターネット調査(全国)
【調査結果】
Q1. 普段から、免疫機能について意識をしているか?
「とても意識している」「やや意識している」の合計が55.9%で、普段の生活で、現在、免疫機能を意識している方々の割合が多い結果だった。
Q2. 新型コロナウイルス感染拡大前(2019年12月以前)と比較して免疫機能についての意識に変化はあったか?
「とても意識するようになった」、「やや意識するようになった」の合計が55.8%となり、新型コロナウイルス感染拡大後に意識変化が起こっている人の割合が高く、免疫機能に対して関心が高まっている結果となった。
Q3.新しい生活様式の中で免疫機能が注目されているが、免疫機能を上げる目的で取り入れていることはあるか?
「十分な睡眠をとる」が43.3%で最も多い回答、次いで「発酵食品を摂る」が40.9%。「適度な運動をする」が30.2%、「ストレスをためない」が26.2%で、それぞれ高い回答率となった。
<研究結果概要>
【掲載紙】
薬理と治療(2020年48巻12号、2161-2166)
タイトル:ガム咀嚼による唾液中S-IgA分泌の影響 - オープンランダム化クロスオーバー試験 -
著者:松井美咲、菅野範、大澤謙二、小林弘幸
【研究背景・目的】
唾液の大部分は水分だが、無機質、酵素、抗菌および免疫に関する物質などさまざまな要素で構成され、口腔内の自浄作用だけでなく、全身の健康にも関与している1)。構成成分の一つである免疫グロブリンA(IgA)は感染症の予防を担う重要な免疫物質だ2)-4)。本研究では、ガムを咀嚼することによる唾液とIgA分泌量の変化をヒト試験により検証した。
【研究方法】
対象:24~52歳の健常な男女20名(オープンランダム化クロスオーバー試験)
期間:2020年8月~10月
内訳:対象者20名にガム、タブレットを摂取し(または無摂取で)、唾液を採取してもらった。
内容:水で口をすすぎ安静後、ガム、タブレットの摂取前後および摂取中に経時的に唾液を採取した。採取した唾液の重量、およびIgA量(ELISA法*)を測定した。
*:試料溶液中に含まれる目的の抗原あるいは抗体を、特異抗体あるいは抗原で捕捉するとともに、酵素反応を利用して検出・定量する方法
【結果・考察】
ガムを咀嚼することで、唾液量および時間当たりのIgA分泌率が有意に増加した。またその効果は咀嚼中持続的であることも認められた。ガムにおいては味覚刺激と咀嚼刺激が口腔内で相加的に作用し、摂取5分間の無摂取やタブレットと比較した唾液量の増加とIgA分泌促進が認められた可能性がある。また、ガムは噛み続けることが可能な品質のため、唾液の分泌が持続的に促進されたと考えられる。
【参考文献】
1) AML Pedersen, CE Sørensen, GB Proctor, GH Carpenter, J Ekström. Salivary secretion in health and disease. J Oral Rehabil. 2018 ; 45 : 730-746.
2) B Corthésy. Multi-faceted functions of secretory IgA at mucosal surfaces. frontiers in Immunology. 2013 ; 4 : 185-195.
3) V Shkalim, Y Monselize, N Segal, I Zan-Bar, V Hoffer, BZ Garty. Selective IgA Deficiency in Children in Israel. Journal of Clinical Immunolog. 2010 ; 30 : 761-765.
4) A Priyadarsi, J Sankar. H1N1 infection associated with persistent lower respiratory tract illness in an infant with isolated IgA defi ciency. BMJ Case Reports. 2012. bcr1120115132.