唾液中の免疫物質がガムの咀嚼で「2.5倍」に── 小林弘幸教授監修・ロッテの研究成果

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ロッテが「噛むこと」の健康機能に着目し、順天堂大学の小林弘幸教授監修による研究を実施。「ガム咀嚼が唾液分泌を促進し、口腔内への免疫グロブリンA(IgA:様々な病原体に対する生体防御機構の最前線として役割を果たす免疫物質)分泌が増加する」ことを確認した。

本研究成果は「薬理と治療(2020年48巻12号)」に論文掲載された。

また、全国の一般生活者約7000名を対象に、新しい生活における免疫機能に関する意識調査を実施した。約56%の人が新しい生活様式の中で免疫機能について意識しており、免疫機能への関心が高い状態であることがわかった。※詳細は次ページ参照のこと。



研究概要


唾液は口腔内の自浄作用と全身の健康に関与している。唾液中の成分の一つであるIgAは感染症の予防を担う重要な免疫物質であり、ガム咀嚼によって、唾液とその中の成分であるIgA分泌がどのように変化するのか、ヒト試験により検証することとした。

【対象】24~52歳の健常な男女20名(オープンランダム化クロスオーバー試験)
【方法】水で口をすすぎ安静後、無摂取時、および、タブレット、ガム摂取前後および摂取中に経時的に唾液を採取。

研究結果


ガムを咀嚼することで、安静時と比較して唾液の分泌が促進され、口腔内のIgA分泌が約2.5倍(5分間咀嚼時)に増加することが確認された。
※詳細は次ページ参照のこと。



小林弘幸 順天堂大学医学部教授 コメント


よく噛むことは重要だということは誰もが知っています。ではなぜ重要なのかということを考える機会は案外少ないように思えます。

今回の試験では一般的に長時間噛むことができる食品であるガムに着目し、研究を行いました。咀嚼することにより唾液の分泌およびIgAの分泌が促進されました。IgAは細菌やウイルスなどと結合することで、様々な病原体に対する生体防御機構の最前線として役割を果たしています。

また噛むことの利点は免疫のみならず、肥満の防止やストレスの緩和、自律神経を整えるなど身体全体に及びます。噛むということは手軽にすぐにできることですので、日々の生活に意識して取り入れると良いと思います。


こばやしひろゆき◎順天堂大学医学部 総合診療科・病院管理学教授。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもあり、みそをはじめとした腸内環境を整える食材の紹介や、腸内環境を整えるストレッチの考案など、様々な形で健康な心と体の作り方を提案している。著書多数執筆。メディア出演や講演活動も多数。

唾液とIgA


口は食品中の細菌や空気中のウイルスと最初に接する器官だ。これらの外敵に対して唾液は重要な防御機能を持っている。唾液は口の中の外敵を物理的に流して洗浄する効果がある。

加えて、唾液の中で重要な働きをするのがIgAであり、口の中に入ってきた外敵に対して即座に反応し、身体の中に入り込むのを阻止するように働く。

感染症の予防には、唾液で口の乾燥を防ぐことと、門番の働きをする免疫物質IgAを口の中で多く分泌させておくことが大切だ。


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PR TIMESより

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