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専門家はどう見る(Shutterstock)

2月15日の東京株式市場で、日経平均株価が3万0084円で取引を終え、1990年8月以来、3万円の大台を回復した。実に30年半ぶりの水準だ。30年前はバブル景気さなかであったが、コロナ禍の今回の背景には、何を読み取ることができるだろうか。金融市場の専門家4人に聞いた。

3万円台をつけた理由


ピクテ投信投資顧問株式会社投資戦略部ストラテジストの糸島孝俊は、3万円台更新には4つの背景を見ることができるという。

1つ目は、トランプ元大統領の弾劾裁判が無罪評決となったことで、アメリカの追加景気対策への期待が高まったこと。現在はバイデン新大統領のもと、1.9兆ドル(約200兆円)の追加経済政策の早期成立が議論されている。

2つ目は、日本の内閣府が15日の取引前に発表した2020年10〜12月期のGDPが、年率換算で前期比12.7%と予想を上回ったこと。3つ目は、日本政府が14日、ファイザー社の新型コロナワクチンを承認したことが挙げられ、期待感が示された。

さらに4つ目には、オプション取引の「3万円コール(買う権利)」の売り手がリスク回避(デルタヘッジ)するための買い戻しが背景にあるという。

「3万円はつけないと思ってる人が多かった。3万円のコールという建玉(未決済になっている契約総数)があるので、3万円まで回復してしまったことによって買いが入ってきた。売っていたけれどあわせて買わなくてはいけないという状況にマーケットが追い込まれたということです」

一方、経済アナリストの馬渕磨理子は「カネ余り」の現状を指摘する。

「ひとつは、過剰流動性のマネー相場が背景にあります。あり余ったお金が株式市場に流入し、株価を押し上げています。企業業績では、トヨタ自動車など上方修正する企業が相次いでいる点も、日本経済の底堅さを好感しています」

上昇、いつまで続く?


日本のみならず、世界の株式市場で上昇相場が続くが、この状況はいつまで続くのか。

auカブコム証券投資情報室室長チーフストラテジストの河合達憲はこう見通す。

「まさに新値なので、しこり玉(損失が大きすぎて身動きが取れなくなった銘柄)、戻り売り(下げ相場の中での一時的に高くなったのを見て売ること)の玉はないということ。よって、跳ねやすい地合いということです。上値をさらに切り上げる可能性が高く、過熱感が台頭する3万1千円まで駆け上がるのではないか」

また、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆は、この状況は今後1年は続くだろうと予測する。

「この相場には、各国の中央銀行が大々的にお金を出しているという背景があります。その過剰流動性というかカネ余り状態から考えると、少なくともそれが打ち切りになるのは来年以降だろうと。

雇用の最大化はFRB(米連邦準備理事会)の責務のひとつですが、アメリカにはコロナ前と比較すると、まだ1千万人失業者がいます。このようにコロナショックで苦しんでいる人々が元に戻らないうちは金融緩和はやめられず、こういう状況が改善するにはは1年はかかるでしょう。ところが、経済の大半はもう戻ってしまっている。本当に困っている人がいる一方で、経済は回ってしまっていて企業業績は絶好調。こういう状況は、少なくとも今年中は続くだろうと思います」

構成=谷本有香 編集=督あかり 文=河村優

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