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地域によっては桜が芽吹きはじめ、今年も卒業式の季節となった。合唱の練習や、卒業文集、DVDといった記念品の制作など、準備に追われる人も多いだろう。

そんななか、音楽を使用する際に、著作権に関して気にしたことはあるだろうか?

「卒業式は毎年行われるイベントだし、そこまで気にする必要はないだろう」と、あまり深く考えずに準備をしてはいないか。だが「卒業ソングにおける著作権」、実はそれほど甘いものではないのだ。


ジャスラックによる規定


日本音楽著作権協会、通称ジャスラック(JASRAC)は、著作権所有者(作詞家、作曲家、音楽出版社等)から権利を預かり、「音楽を使用する人・団体」の手続き窓口の役割を担っている団体だ。

そのジャスラック公式の情報から、「卒業式における音楽著作権のルール」を紹介する。ただし、原則、著作者の死後70年が経過した作品に関しては、問題なく使用できる。

卒業式の準備:記念品の制作など


・卒業記念DVDを制作する

卒業記念に、思い出の写真や動画に音楽をつけてCDやDVDを制作し、それを生徒や保護者に配布する。これは、著作権者(JASRAC等)への手続きが必要となる。理由は、 著作権法における「個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」場合に限り、許諾なく複製できる、という規定から外れているためだ。

・卒業文集を制作する

卒業文集に、歌詞や楽譜を掲載する場合も、著作権者への手続きが必要となる。ただし、下記に示した一定の条件を満たす場合には、「引用」の扱いとなり、手続きが不要となる場合もある。

<「引用」の扱いとなる条件>

1. 公正な慣行に合致すること
2. 報道、批評、研究等の引用の目的上正当な範囲であること
3. カッコでくくる等、引用部分が明瞭に区分されていること
4. 本文が「主」、引用部分が「従」の関係にあること
5. 引用部分の著作物の出所を明示すること

これらの条件をすべて満たした場合に限り、権利者の許諾を必要としない「引用」と認められる。

・式典で使用するために、歌詞や楽譜をコピーする

卒業式で合唱するために、該当曲の楽譜をコピーし、生徒に配ることがあるだろう。これも「部数が多い場合」には、著作権者への手続きが必要となる。多くの学校では卒業生だけでも数十人いて、一人ひとりに配る場合がほとんどのため、基本的には手続きは必要という認識でよいだろう。

・式典で使用するために、CDやDVDをコピー・編集する

卒業式のためにCDやDVDをコピー・編集する目的としては、主に以下が考えられる。

・卒業式でBGMを流すために、市販のCDをコピーする
・卒業式で上映するため、市販のCDから音楽を入れてスライドショー・動画を制作する

上記の場合、「学校など授業のための複製」は基本的に認められており、卒業式も「授業の一環」と定義されるため、この点はクリアとなる。

また、これらのケースでは、式典で使用することだけが目的であり、生徒の人数分などたくさんの部数をコピーすることはないだろう。この2点をふまえると、卒業式のためのCDやDVDのコピー・編集に、手続きは不要ということになる。

文=長谷川 寧々 編集=石井 節子

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