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2021.02.15

空飛ぶタクシー「アーチャー」、ユナイテッドと提携で本格始動へ

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航空会社のCO2削減に貢献


同社の推計によると、ハリウッドとロサンゼルス国際空港の間をeVTOLで飛行した場合、乗客1人当たりのCO2排出量を47%削減できるという。Archerは、2024年にエアタクシーサービスを開始する予定で、ロサンゼルスは最初にローンチする都市の一つだ。ユナイテッド航空は、自前でeVTOLを運行する計画はないという。

1977年にニューヨークのパンナムビル(現メットライフビル)の屋上で悲劇的なヘリコプター事故が起きて以来、航空会社数社がファーストクラスとビジネスクラスの乗客向けにヘリコプター輸送サービスをテスト運行したが、芳しい結果は得られていない。過去4年間では、デルタ航空がブレイド(Blade)と提携してマンハッタンからジョン・F・ケネディ国際空港までのヘリコプター輸送サービスをテストしている。また、ユナイテッド航空はHeliFliteと組んでニューアーク空港への輸送を行っており、アメリカン航空は、ブレイドと組んでジョン・F・ケネディ国際空港とロサンゼルス国際空港までの輸送サービスを展開している。

電動エアタクシーは、ヘリコプターよりも経済性が高く、騒音も少ないため、将来性が有望視されている。Archerの創業メンバーであるBrett AdcockとAdam Goldsteinは、これまで事業を急成長させてきた。2人は、ウォルマートでEコマース事業の責任者を務めたMarc Loreから初期資金を得て、競合のエアタクシー企業から優秀なエンジニアを高給で引き抜き、昨春にステルスモードから脱した(Loreは、MoelisらとPIPEs取引で3000万ドルを追加出資する)。

開発中の機体については、パイロットと4人の乗客を乗せ、60マイル(約97キロ)を時速150マイル(約241キロ)で飛行すること以外の情報は公開されていない。Archerは、まず2人乗りの小型機を今年前半にテストする計画だ。5人乗りの機体については、2023年に量産体制に入り、2024年にエアタクシーサービスをリリースすることを目指している。

Archerは今年1月、フィアット・クライスラーとグループPSAが合併して誕生したステランティスと提携し、航空機の開発と量産の支援を受けることを発表した。

ユナイテッドは、Archerとの提携に先立ち、空気中のCO2を取り除く技術を開発する1PointFiveや、家庭ごみを輸送用燃料に変換するFulcrum BioEnergyに出資している。

ユナイテッドにとって、eVTOLのような先端技術への出資はリスクが伴うが、「成果が出れば、同社に数十億ドルを融資して救済中の米政府にとってもメリットが大きい」とCowen & Co.の航空業界のアナリストであるHelane Beckerは指摘する。「航空会社にとって、CO2排出量の削減は、今後20年間に渡って取り組む主要なテーマであり、ユナイテッド航空はこの領域でリーダーになることを目指している」とBeckerは話した。

編集=上田裕資

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