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日本の物流が悩む2つの急所、そして世界に誇れる強み


新たな取り組みに挑戦し続けている同社だが、ここで園田氏に、大局的な質問をしてみた。同社から見た「現在の日本の物流業界が抱える問題」は、どういったところにあるのだろうか。

「やはり一番は、ドライバーの数がどんどん減っていることですね。これは、日本の人口減少もそうなのですが、色んな業界・業種がある中で、物流に取り組もうと考える人が以前より少なくなっていることも理由だと思います。

一方で、消費者の方々の輸送ニーズは年々上昇しており、物流企業への負荷が高まっていて、現状だと『365日稼働しないと間に合わない』という状況にあります」(園田氏)

こうした現状に加えて、働き方改革などの影響により、運送に携わる人々の労働時間が制限されていっているのも、物流業界が抱える大きなジレンマだ。

また、このような人的問題だけでなく、発注方法が依然としてアナログ、電話やファックスなどが中心で、効率がすこぶる悪いことも課題だ。コミュニケーション上のこうした課題は当然、1社の努力だけで解決することは難しい。

「他業界の方々に、『難しい状況の中でも頑張っているんだ』と認めてもらうことが重要です。

また、今の取引形態から脱却することによって、より効率的になるとわかれば、お客様も他業種の方々も興味を持つようになると思います。『お互いにとっての改善につながる』ことを示していくのが、われわれ物流業界の役割だと思っています」(園田氏)

こうした課題を抱える一方で、日本の物流だからこそ素晴らしい点もたくさんある、と園田氏は言う。日本人特有の気質からなのか、時間に正確で、冷たいものは冷たいままに、温かいものは温かいままに、大切に運ぶ。ここまでクオリティの高い輸送サービスが確立されているのは、世界的に見ても珍しい国だという。

「商品開発」は単なるひとつの選択肢


今後の同社の展望について、園田氏はこう話した。

「商品開発というのは取り組みのひとつであり、その根底にあるのは『収穫した農作物はただちに出荷、そして見た目が良いことが原則である、という価値観を変えていきたい』という思いです。

現在のコロナ禍の影響はもちろん、近年の気候変動の影響により、たとえば九州だと毎年大雨が降るような状況になってきています。農作物を収穫できる旬の期間がどんどん短くなっている中で、これまでのスタイルだけではなく、農作物の新しい価値観だったり、流通の方法だったりを業界全体で考えて、農家の現状を変えていきたいと思っています」

「見た目がイケてる」だけで選びたくはない、農作物がもつドラマ


最後に、われわれ消費者に向けて、園田氏はこんなメッセージを残した。

「多くの消費者の方々は、スーパーの中で売られている野菜や果物を、『綺麗かそうじゃないか』の見た目で判断して選ぶ傾向にあると思います。ですが、たとえば『虫食い』があるものというのは、農薬がより制限されていて、虫が食べれる状況で育てられたんだ、という視点から見ることもできます。

われわれは物流企業ではありますが、農作物には、たとえば『見た目』以外にさまざまなバリューがあることをメッセージとして発信し続け、消費者の方々に、農業や農作物の魅力をもっと知ってほしい。そして、みなさんの食生活がより豊かで楽しいものになってほしい。そう願っています」

取材・文=長谷川寧々 編集=石井節子 写真提供=福岡ソノリク

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