セラシオの9日の発表によると、新たにエクイティファイナンス(新株発行をともなう資金調達)を実施した。ほとんどはアドベント・インターナショナルやオークツリー・キャピタル・マネジメントといった既存投資家が引き受けた。
セラシオは1月にデットファイナンス(銀行からの借り入れ)でJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなどから5億ドル(約520億円)を調達したばかりだった。今回分を含めると同社の資金調達額は累計で17億5000万ドル(約1830億円)に達し、大半は過去1年に集めている。
共同創業者のジョシュ・シルバースティーン共同最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「よく言うでしょう、資金調達をするのにベストな時期は、資金を必要としていないときだって」と語っている。投資家の需要は十分あり、調達規模は5倍の規模に膨らんだという。
セラシオはこれまで、年間売上高4000万ドル(約42億円)を上限とした業者の買収を手がけていたが、新たな資金によって年間売上高が2億ドル(約210億円)に達するような業者の買収も可能になるとみられる。新たな資金はこのほか、買収した企業を、国際的な、あるいはアマゾン以外の販路でのプレゼンスの強化などによって、スケール(拡大)することにも振り向けられそうだ。
セラシオは2018年の創業以来、アマゾンで製品を販売する「サードパーティーセラー」と呼ばれる業者を約100社買収し、その製品数は合計で1万4000点を数える。買収した業者に対しては、マーケティングやサプライチェーン(供給網)などを改良して売り上げや利益を伸ばしている。2020年の売上高は5億ドル(約520億円)超、利益は1億ドル(約105億円)だった。
セラシオの急速な成功に触発されて、起業家や投資家がアマゾンサードパーティーセラーに群がるようになり、アマゾンのエコシステム(生態系)へのゴールドラッシュが起きている。サードパーティーセラーはアマゾンの製品売り上げの約6割を占める。
9日には、ソフトバンク傘下ビジョン・ファンドのパートナーだったマイケル・ローネンらが率いるブランデッド・イーコマース・グループも、アマゾンのサードパーティー業者を買収するため1億5000万ドル(約157億円)を調達したと発表している。