ビジネス

2021.02.13 19:00

クレジットカードを破壊するPayPalマフィア、45歳の連続起業家の挑戦


その後、レヴチンはランペルや、ネイサン・ゲティングス(ピーター・ティールと共にPalantirを共同創業した人物)、そしてサイクリング仲間で連続起業家のジェフ・カディッツと共に、アファームを設立し、融資アルゴリズムの研究を開始した。

2015年の中頃までに、アファームはピーター・ティールやLightspeed Venture Partnersなどから3億2500万ドルを調達していた。その後、加盟店を拡大したアファームは、2018年に顧客に総額20億ドルのローンを提供したが、資金を燃焼させ続けていた。PitchBookのデータによると、同社は2019年までに11億ドルをデットとエクイティで調達し、評価額は29億ドルに達していた。

パンデミック後に、アファームの事業規模は拡大したが、利益はまだ出ていない。2019年11月から2020年7月までの、米国での利用者(借り手)はそれまでの2倍の560万人に増加した。

昨年9月30日までの1年間のローンボリュームは、53億ドルに達しており、その大半を占めるのが、ペロトンだった。2000ドル以上の家庭用エクササイズバイクで知られるペロトンの昨年夏の売上は、前年の3倍に膨らんでおり、アファームの第3四半期の売上の約30%が、ペロトンの販売によるものだった。

成長を維持できるか?


IPOから8日後のアファームの時価総額は、12ヶ月間の売上高の数十倍の260億ドルに膨らんでおり、同社は今後、このバリュエーションを正当化していかねばならない。

成長を維持するために、レヴチンはいくつかの大掛かりな取り引きを行っていた。7月にアファームは、Shopifyの米国の独占的な決済プロバイダーになるために同社の株式2000万株を譲渡していた。CNBCは1月13日、Shopifyがアファームの上場により、20億ドルのリターンをあげたと述べた。

さらに12月にはカナダの後払いサービス企業PayBrightを2億6400万ドルで買収した。

一方で、アファームは加盟店から徴収する手数料においても競争に直面することになる。アファームは現在、加盟店の売上から推定6%の手数料を徴収しているが、Afterpayの場合は4〜5%、Klarnaの場合は3~4%とされている。

さらに、クレジットカード会社も反撃に出ている。JPモルガン・チェースやシティなどは、顧客が高額な買い物を行う場合、通常のクレジットカード決済とは別の融資枠を提供する取り組みを開始した。そして、今後の市場環境の変化によって、銀行の貸し出し金利が上昇すれば、アファームのデフォルト率(現在は約4%と低水準)も上昇する恐れがある。

アファームは今後も、その透明性に魅力に感じてくれる顧客層に向けて、より多くの金融サービスを提供していこうとしている。同社は昨年6月、最低金額の縛りのない、手数料なしの高利回りの普通預金口座の提供を開始した。

IPOで12億ドルのキャッシュを調達したアファームは、これからどこに向かうのだろう? それは、ミレニアル世代に優しいクレジットカードの再構築なのかもしれない。

翻訳・編集=上田裕資

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