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マックス・レヴチン(Getty Images)

1986年4月26日に当時10歳だったマックス・レヴチンとその家族は、チェルノブイリ原発から南へ90マイル(約140キロ)離れたウクライナのキエフに住んでいた。ソ連政府が原発事故の被害を隠蔽しようとする中、物理学者だったレヴチンの母親は放射能の危険性に気づき、彼と弟を連れて、何百マイルも離れたクリミアの祖母の元へと避難した。

その5年後に家族は米国のシカゴにユダヤ人難民として渡ったが、手持ちの現金はわずか700ドルだけだった。ルーブルは崩壊し、政府は通貨の国外への持ち出しを厳しく制限していた。

「社会主義国からアメリカに来た私は、この国に存在する多くのものに準備ができていなかった」とレヴチンは話す。「アメリカに来て2年後に、初めてクレジットカードを手に入れたが、使い方を知らなかったが故に、すぐに信用を失ってしまった」

フォーブスがレヴチンに話を聞いたのは、彼が共同創業しCEOを務める後払いの決済サービスを提供するフィンテック企業「アファーム(Affirm)」が上場を果たした1月13日のことだ。

アファームの株価はIPO初日に売り出し価格の2倍の96ドルに急騰し、時価総額は240億ドルに到達。レヴチンの保有資産は25億ドル(約2600億円)を突破した

クリスマスの休暇以来、妻と2人の子供と共にハワイ島で過ごしているレヴチンは、裸足に短パン、アファームのロゴが書かれた黒いTシャツという格好で、ビデオ取材に応じた。数学の天才と呼ばれた彼は、23歳の時にオンライン決済企業のPayPalを共同創業した。

彼が関わったベンチャー企業には、2015年まで会長を務めたYelpや、2010年に彼がグーグルに1億8200万ドルで売却したSlide、妊活アプリのGlowなどがある。

45歳、遅咲きのビリオネア


しかし、現在45歳のレヴチンは、「PayPalマフィア」と呼ばれる彼の仲間たちと比べると、遅咲きのビリオネアと言える。イーロン・マスクやピーター・ティール、リード・ホフマンらの資産は、今からずっと前に10億ドルを突破していた。

彼がようやくビリオネアになれた理由の一つは、パンデミック後にEコマースが急拡大したことで、もう一つは、彼の今から10年近く前の予想が的中したことだ。レヴチンは、金融危機の時代に学生ローンを背負ったミレニアル世代たちが、クレジットカード会社や大手銀行、消費者金融などにアレルギーを持つことになると考えた。

ミレニアル世代が嫌うのは、借金そのものや高金利ではない。彼らはクレジットカードの特定の側面、つまり延滞料や多額の借金が簡単に積み重なってしまうリボ払いを嫌悪していると、彼は考えた。

アファームの後払いサービスで商品を購入する場合、延滞料は一切発生せず、事前に最終的な支払額が明確に提示されるため、安心して買い物が出来る。支払いは、3回から12回の金額固定の分割払いが一般的で、高額なアイテムの場合は最大4年間の分割払いが可能だ。

翻訳・編集=上田裕資

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