アタッシュケースを再解釈 スマホ世代への「ダンヒル」の回答

ダンヒルのTHE LOCKBAG


森岡:確かにそうですね。このバッグは新しくモダンに見えますが、ダンヒルの受け継がれてきた伝統をアップデートさせたデザイン。「THE LOCKBAG」の名前の由来にもなっている真ちゅうの鍵はダンヒルのアーカイブアイテムから引用されたものと聞いています。

小暮:この鍵は見る人の印象に残るディテールで、しかもジェントルマン的。まさにダンヒルらしいアイコンです。

森岡:バッグ自体はレザーカットされた4つのパネルを手作業で組み立てたもので、丁寧な仕上げにダンヒルのクラフツマンシップを感じさせるのではないでしょうか。

小暮:フロントのパネルにマチが付いて、中に入れたものの出し入れがしやすいつくり。裏地は中身を保護するナイロンパッド入り。

森岡:電話がかかってきたら、簡単にスマートフォンをバッグから取り出すことができます。

小暮:私は常々、スマートフォンがこれだけ普及しているのに、その道具に適したバッグがなかなか出てこないと思っていたのです。お財布機能だってスマートフォンに収納される時代ですから、これだけを持って外出される人も多いはず。ならばスマートフォンに最適なデザインをもっと考えたほうがいいのではと感じていたのです。

森岡:ある意味このバッグはスマートフォン世代へのダンヒルならではの回答かもしれませんね。

THELOCK BAG

アーカイブにあった1960年代のアタッシェケースに着想を得た「THELOCK BAG」。アクセスしやすいマチ付きのメイン収納以外に、2つのカードスロットが付く。写真で紹介したブラック、ネイビー以外にもブランドを象徴するライターの質感や仕上げからインスピレーションを得たメタリックカラーのゴールドやシルバーのモデルも用意されている。H17×W10.5×D5.5cm。各¥216000(ダンヒル/リシュモンジャパン tel.03-4335-1755)


森岡弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。

小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure | fashion direction by Hiroshi Morioka | edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

連載

紳士淑女の嗜み

ForbesBrandVoice

人気記事