地域別に見ると、北米・南米の売上は15%減少。販売店休業のあおりを受けたもので、その結果、オンライン売上が売上全体の半数以上を占めることとなった。
グローバル・トラベルリテール事業を含むヨーロッパ、中東、アフリカも2%減少したが、海南島とアジア地域における免税店の成長に支えられたトラベルリテールチャネルの前年比1桁成長が、その分を相殺するかたちとなった。
対照的に、おもに中国本土と韓国、その他のより小規模な市場から構成されるアジア太平洋地域では35%増と見事な成長をみせ、他地域のマイナス分を補って余りある結果となった。実店舗とオンラインがともに伸びており、同社の売上全体に占めるアジア太平洋地域の割合は、2019年同期の29%から37%に拡大している。
トラベルリテールへの悪影響
しかし、オッペンハイマーのアナリストは、エスティローダー株の投資判断を「アウトパフォーム(優良)」から「パフォーム(中立)」に引き下げた。その理由は、短期的リスクが、アナリストの言う「非常に魅力的な長期予想」をいまのところ上回っていることが考慮されたためだ。同社アナリストはまた、エスティローダーを「トップピック銘柄」から除外した。
オッペンハイマーは2月5日に発表したリリースでこう説明した。「新型コロナウイルス関連の問題が中国経済内にどのくらい居座り続けるのか、その正確な影響と期間を推し量るのは難しいが、当社アナリストは現在、利益率の高いトラベルリテール分野が少なくとも3月まで、あるいはさらに長く悪影響を受ける可能性があるとみている」
エスティローダーのフリーダCEOは、10-12月期の伸びは予想より早かったが、中国が旧正月を祝う現在の1-3月期こそが課題になりうることを認めている。そう言いながらも、フリーダは自信をのぞかせ、6月までの半年間に「売上を継続成長させる」ことは可能だと述べた。
エスティローダーは、3月までの3カ月間における為替相場の影響を除外した売上の増加率を、10%から11%と予想している。