コロナと気候危機にどう対応するか? 小泉環境大臣、脱炭素化へ3つの提言

脱炭素の実現を(Getty Images)

ダボス・アジェンダ2021で環境大臣の小泉進次郎は、日本の脱炭素化に向けた政策における3つのポイントを示しました。(世界経済フォーラムのダボス・アジェンダを元に記事化しています)


世界はいまなお、コロナと気候危機という2つの危機に直面しています。こうした時代の転換点に立ついまこそ、より持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン(再設計)が必要です。そのために、日本はいま、「脱炭素社会への移行」、「循環経済への移行」、「分散型社会への移行」という「3つの移行」に挑戦しています。

昨年10月、菅総理大臣は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。「グリーン社会の実現」は、政権の中心課題に位置づけられ、気候変動対策が経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながる、ということがうたわれました。2021年1月の施政方針演説においても、二酸化炭素の排出量に応じて価格をつけ、成長につなげる「カーボンプライシング」に取り組むことや、2035年までに新車販売で電動車100%を実現することを表明しました。

米国では、バイデン政権が誕生し、気候危機が外交政策・国家安全保障の中核に据えられ、パリ協定への復帰や化石燃料補助金廃止などを打ち出す大統領令にも署名がされました。4月には、米国主催の気候サミットも予定され、日本も出席予定です。

2050年までのカーボンニュートラルは、将来のイノベーションをただ待つだけでは実現しません。再生可能エネルギー、電気自動車をはじめとする、いま既にある脱炭素技術を徹底的に利活用することが重要です。2050年カーボンニュートラルに向けては、「2030年までの10年が勝負」という思いで、いま取り組んでいる「脱炭素への移行」に向けた政策強化について、3点ご紹介します。

3つの政策強化ポイント


1点目は、政府レベルでの政策の強化です。まず、地球温暖化対策推進法の改正の検討を進め、2050年カーボンニュートラルを法律に明記することを目指します。これにより、その法的な根拠を明らかにし、政策の継続性を確保するとともに投資の予見可能性を高めます。地域での再エネ導入促進に向けた自治体の目標設定や認定制度も導入します。

また、カーボンプライシングについては、総理の指示の下、経済産業省と連携しながら検討を進めており、2月1日に中央環境審議会での議論を再開しました。幅広い立場の様々な観点からのご意見をいただきながら、成長戦略に資するカーボンプライシングについて、間口を広く構えて、建設的な議論を進めていきたいと思います。

さらに、2050年カーボンニュートラルに向けた具体的な行程を検討するため、現在、地球温暖化対策計画の見直しを行っています。COP26までに、より意欲的な2030年温室効果ガス排出削減目標を表明することを目指します。

2点目は自治体と企業の動きです。
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文=小泉進次郎環境大臣

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