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2021.02.14

コロナ禍でもハワイの不動産は好調。住民の「マイホーム」は遠のく?

堅調なハワイの不動産事情と、その裏の住宅問題とは(Photo by Unsplash)


上述したように、2020年12月のデータでハワイの戸建住宅の中間価格は87万ドル(約9100万円)、コンドミニアムは45.5万ドル(約4780万円)と高額だ。住宅ローンが史上最低レベルになったと言っても、日本の金利に比べると2倍近い。

仮に中間価格と同じ45.5万ドルのコンドミニアムを、史上最低となった2.66%の「30年固定金利」で全額ローンを組んだ場合、月々の支払いは約1840ドル(約19.3万円)となる。コンドミニアムなら、これに管理費が毎月500~1000ドル近く加わり、住居費だけで月25~30万円近くかかる計算だ。ハワイの給与所得は決して高いわけではないのに、これだけ住宅価格が高騰すると、現地住民にとって不動産の購入は大きな負担となる。

ハワイ 住宅
ハワイの不動産成長は、外国人や一部の富裕層によって支えられているが、現地住民がマイホームを手に入れづらい状況もある(Photo by Unsplash)

先日、ハワイ州のデービッド・イゲ知事が2021年の州施策について演説を行い、新型コロナウイルス対策などと併せて、住宅対策について言及。2022年末までに、アフォーダブルハウスと呼ばれる安価な住宅を3000戸建設すると発表した。

しかし新型コロナウイルスの影響で財政面が逼迫する政府に対し、SNS上では「アフォーダブル住宅?」「ハワイに住んでいない人のための家でしょ」「そのお金はどこから出るんだ?」と皮肉の声があふれた。

ハワイで住宅を手頃な価格で購入できないことから、アメリカ本土に移住する人が多いと指摘されているが、新型コロナウイルスによる雇用の悪化で、この傾向に拍車がかかるかもしれない。

現地住民の住宅問題を解決するため、2020年3月、築5年以上のハワイの物件を購入できるのはアメリカ市民とアメリカの居住者に限定し、外国人の購入を禁止する法案をハワイの議員が提出し、上院議員25名の満場一致で議会を通過した。

その後、この法案の有効性と合憲性について疑問が上がり、成立には至っていないが、このような法案が持ち上がるのは、現地住民のマイホーム購入がそれだけ困難になっている証だろう。ハワイの不動産業界の成長と共に、住民への支援策が政府には求められている。

文=佐藤まきこ

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