コロナ後も続く、米スーパー業界に起きた3つの大きな変化

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2. まとめ買いと常温保存食品


客が購入する商品も変化している。レストランが閉まり、人々は自宅で時間を過ごしているため、自炊が増えて、食料品の購入量も増えている。さらに拍車をかけたのが、コロナ流行の不安による買いだめだ。

平均的な米国の家庭の食料品支出は昨年3月、前年同月比3割増の525ドル(約5万5000円)だった。7月には455ドル(約4万8000円)まで下がったが、それでも前年同月と比べると10%高かった。

買い物客の来店回数は減っているが、使う額は増えている。そして実店舗に向かうときには、より長持ちするものを買うようになっている。コロナを機により健康的な食事を始めた人もいるが、多くの人は安くて常温保存でき、不健康なものが多い「コンフォートフード」をまとめ買いしている。

この理由は2つある。1つ目は、常温保存食品を持つことで緊急事態に備えられ、安心感を持てること。2つ目は、コンフォートフードはその名が示す通り、混とんとした時にも安心感を与えてくれることだ。

3. スピードと利便性、安全性への焦点


最近の買い物客は、店内をゆっくり回って商品を選ぶのではなく、できる限り手早く効率的に用を済ませて店を出るようにしている。多くには定期的に買う商品があり、新しい材料やメニューのアイデアを求めて店内を見て回ることが少なくなった。このように変化するトレンドに合わせるため、店の多くは新たなブランドや商品に手を出すのではなく、よく売れる常温保存食品の仕入れに焦点を当てている。

店はまた、客が手早く買い物できるよう店内の配置や構成を変更している。以前は客に注目してもらいたい新商品を陳列していたエンド(棚の端部分に通路へ向けて置かれる棚)部分は現在、必需品が並び、手に取りやすくなっている。

支払いではセルフレジを選ぶ人が増えている。米小売大手のウォルマートはセルフレジ設備を拡張。アマゾンは先日、手のひらを使って支払いができる技術も発表した。焦点となっているのは、テクノロジーを活用し、買い物・支払い体験全体を短縮し、より便利にする試みだ。店側には今、イノベーションを強く推し進め、長年変化していなかった食料品買い出しの習慣を破壊する機会が訪れている。

編集=遠藤宗生

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