アナログゲームの人気が再燃 デジタル世代には「斬新」 

アナログゲームがここ数年で熱い盛り上がりを見せている(写真提供:JELLY JELLY CAFE)

「おうち時間」に家族と、友人とオンラインで──コロナ禍のおこもり生活に「ゲーム」を選んだ人は多いだろう。

世界的ヒットとなった任天堂の「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」や、売り切れが相次ぐソニーの「PS5」など、巣篭もり需要により売り上げを伸ばした商品は数多くある。

その一方で、同じくらい熱い盛り上がりを見せている分野がある。「アナログゲーム」だ。

アナログゲームとは、家庭用ゲーム機やモバイルゲームと異なり、電源やネットを一切使わないで遊べるもの。ボードゲームやカードゲームなどが含まれる。

「TSUTAYA」を展開する蔦屋書店によると、2020年4〜6月のボードゲームの売上は前年同期と比べ454.0%も急上昇。ファミリー向けで気軽にプレイしやすいボードゲームに人気が集まったという。

自粛期間中、自宅で楽しめることから需要が高まったと見られるアナログゲーム。アナログゲームにも詳しく、自身も対話型推理劇体験コンテンツ「マーダーミステリー」の専門店Rabbitholeを運営しているミスティブ代表の酒井りゅうのすけ氏は、「『ボードゲーム・ブーム』の流れは、実はコロナ前からはじまっていた」と話す。

なぜアナログゲームがいま人々を惹きつけているのか。酒井氏にアナログゲーム市場の最新トレンドとともに、その魅力を聞いた。

デジタルネイティブ世代にとっては「斬新」


酒井氏によると、ボードゲーム市場はここ数年で急激に拡大、年間1000タイトル以上の新作ボードゲームが開発・発売されているという。

「ボードゲーム市場の盛り上がりは『ゲームマーケット』の規模拡大にも表れている。参加者数、出展数ともに年々右肩上がりを続けています」

「ゲームマーケット」とは、電源を使用しないアナログゲームのみを対象としたゲームイベント。東京で春秋の年2回、大阪で年1回開催され、ゲームクリエイター(同人系・商業系を問わない)が出展したさまざまなボードゲームを体験、購入することができる。カードゲームやテーブルトークRPGなど多ジャンルのゲームだけでなく、解説書やコマ、サイコロといった関連グッズも豊富に扱うゲームボードの祭典だ。

2000年に行われた第1回開催では約400人だった参加者は2010年頃を境に急増。2019年に東京で2日間にわたり開催された「ゲームマーケット2019秋」では、約2万9300人が参加した。出展数は2000年の32件から、2019年には2日間平均で約707.5件にまで伸びたという。

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「ゲームマーケット2019秋」では過去最多の約2万9300人が参加した

また、飲み物を片手に世界中のあらゆるボードゲームが楽しめる「ボードゲームカフェ」の出現も、流行の後押しに。初対面の客同士が同じテーブルで一緒にボードゲームを楽しむというコンセプトが、デジタルネイティブ世代の若者の間で「斬新だ」と話題を呼んだ。現在では、全国に約450店舗ほどのボードゲームカフェがあるそうだ。

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全国で12店舗のボードゲームカフェを展開する「JELLY JELLY CAFE」
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文=大竹初奈 編集=松崎美和子

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