人気YouTuber宮永えいとに聞く「マイナスをゼロにするメンズ美容」

写真=本人提供


トータルでアップデートする考え方


──身だしなみとしてファッションやヘアスタイルを整える延長上に、スキンケアやメイクがあるという伝え方のほうが受け入れられやすいということでしょうか?

僕や僕のサロンに集まる男性は、美容好きではなくて身だしなみ好き。美容好きな人は顔にフォーカスしますが、男性って顔にフォーカスするとナルシストと言われてしまうのでやりづらい。僕が伝えている身だしなみは、顔、髪、服、内面のすべてをトータルでアップデートするという考え方なので、そこが大人の男性に刺さっているのではないでしょうか。

昔『CHOKiCHOKi(チョキチョキ)』という雑誌(※1)が僕ら世代のあいだで流行りました。その理由がヘアカタログがコアコンテンツとしてありながら、それに合ったファッションをトータルで楽しもうという文脈だったからです。

それまでファッション誌ならファッションだけだったものを、ヘアとファッションのトータルコーディネートという、いまでは当たり前のことを浸透させてくれた。いまはそこから一段階上がって、ヘアをセットしてそれに合うファッションを選んだ先に、身だしなみとして顔を整えるという段階に入っていると感じます。

──男性心理を含めて、ライフスタイルやファッションの一部としてメンズ美容のメッセージを届けていく必要があるということですね。1月6日に販売をスタートしたご自身のブランドも、まさにそれを意識したアイテムですよね。

リップクリームもBBクリームもどちらもファッションやライフスタイル文脈で作りました。カラーはマットなブラックで、iPhoneといっしょに置いてもかっこいい、ガジェットのようなデザインにしています。



すごく手に取りやすかったようで、おかげさまで前向きな反響をいただきました。使用感もツヤを抑えるなどバレないことを意識したので、総合的にライフスタイルに馴染みやすかったのではないでしょうか。これを持っているとファッション的にもかっこいいと評価いただいたので、メンズ美容をこっそりやる文化を変えるきっかけになれるのではと手応えを感じています。

小さい頃から抱えていた精神性疾患の原体験


──丁寧な発信の全ては男性の身だしなみという習慣を啓蒙する活動の1つだと思います。伝える原動力はどこにあるのでしょう?

僕自身の原体験にあります。小学2年生頃からトゥレット症候群(※2)という精神性疾患を抱えていて、人に見られることや人の前に立つことが本当に嫌でした。中学生になるとファッションに興味が沸くようになるのですが、リアルで表現することは苦手で、インターネットの掲示板で匿名で自分のコーディネートやヘアスタイルを投稿するようになりました。自分の投稿が褒められると、嬉しくて自然と自信もついて…。

そんな中、掲示板のオフ会に勇気をもって参加したところ、トゥレット症がその日1日出なかったんです。見た目と精神はつながっていると実感しました。
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