「あと5年ほどで男性がBBクリームを当たり前に使う時代がくるはず」というのは、メンズ美容について配信するユーチューバーの宮永えいとさん。フリーランスの美容師として活動しながら、「オトナ男子の身だしなみをアップデート」というテーマで男性向けスキンケアやメイクなどの発信を続け、今年1月には自身のブランド「レタッチ(RETØUCH)」を立ち上げました。今回は宮永さんにメンズコスメ普及のカギや今後の展望について伺いました。
20代以降のビジネスマンの居場所づくりから
──わずか1年半でユーチューブの登録者数が10万人を突破。ユーチューブでの発信だけでなく、無料のオンラインサロンも主宰されています。メンズ美容というジャンルでサロンを立ち上げられたのはなぜですか?
メンズ美容をやる人は増えてはいるものの、「恥ずかしいから裏でこっそりやっている」という人がほとんどです。とくに、10代の若者は発信できる風潮にあるのですが、20代以降のビジネスマンの居場所がなかった。ならば仕切りを作って、この中では恥ずかしくないという環境を作るのが一番と考えたのです。
そこで、オンラインサロンを立ち上げ、入会条件を「社会人男性」と限定したところ、狙いどおりでした。いまでは1400名程の会員が集まり、掲示板での交流も活発になりました。年齢構成はさまざまで、なかには60代70代という方も。「最近のイチ押しコスメ」などスレッド上では盛り上がっていますが、よくよく聞くとリアルな友だちには発信できない悩みがある。まだ水面下でメンズ美容を楽しんでいるようですね。
──ここ数年でメンズ美容について取り上げるメディアも増えていたので、少しずつ男性が美容ケアについて会話することも自然になってきているのではと思っていました。情報やプロダクトが増えていく一方で、まだまだオープンに会話する環境にはないということですね。
僕のサロンに集まる人たちが求めているのは、自分のコンプレックスを補うための、マイナスをゼロにするため美容。決して、美しくしようというプラス要素は求めていないんです。美容好きな人がやる美容ではなく、オシャレ好きな人が身だしなみの一環としてやるという感覚ですね。美容というとプラスにする「盛る感覚」があるので、それとひとくくりにされたくない、恥ずかしいという感情が生まれるのではないでしょうか。