岩手県の自社工場に、休耕田でできた米など「未利用資源」から高濃度のエタノールを抽出する独自の発酵技術をもつファーメンステーション。抽出後の副産物も活用し、ゴミゼロの循環型事業を実現した。
2020年は、新型コロナウイルス流行による手指衛生用エタノールの需要増加や、サステナブル原料への関心の高まりで、同社のエタノール製造量は前年の8倍に急増する見込みだ。
特に人気なのがエタノールを原料として使う化粧品業界。ファーメンステーションのエタノールは、世界的に見ても数少ないオーガニックの未利用資源を利用した「サステナブル原料」で、環境や社会に優しいクリーンな原料を求める国内外の化粧品会社やブランドからの問い合わせが増えた。「市場が急速にできて、私たちがやりたいことが理解してもらえるようになった」と酒井は実感する。
10月にはJR東日本とアサヒグループの関連会社と協業して『お米とりんごの除菌ウエットティッシュ』を発売。米のエタノールを使った自社製品も新発売した。徹底的にトレーサブルで安全なハンドスプレーは「自分たちがやりたいことが詰まった商品」(酒井)だ。
「未利用資源の活用とゴミゼロという目標とビジネスモデルが明確になりました。実現に向けて加速します」。
さかい・りな◎国際基督教大学(ICU)卒業。1995年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行。外資系金融機関を経て、東京農業大学に入学。2009年にファーメンステーション設立。