フォックスコンは、神経筋デバイスの開発を手がける英国企業「ジャイロギア(GyroGear)」に100万ポンド(約1億4000万円)を出資したと発表した。同社はこの提携で、「ヘルスケア分野に先進的テクノロジーを導入していくための長期的ビジョンに沿う、デジタルヘルスケアの変革を進めていく」と述べている。
フォックスコンは2014年頃から医療デバイス分野に進出した。同社の創業者のテリー・ゴウ(郭台銘)は2005年に最初の妻をがんで亡くし、がん研究を支援するための財団を設立した。その9年後に同社はカリフォルニアに拠点を置く医療機器のスタートアップ「ソテラ・ワイヤレス」の株式を購入したのに続き、バリアン・メディカル・システムズ(Varian Medical Systems)と中国での放射線治療機器の販売に関する協議を開始した。
同社は現在、がん検出に特化した医療ユニットGenconn Biotech(康誠生技)を運営しており、昨年は新型コロナウイルス対策の支援の一環で、米国での人工呼吸器の製造に向けて、ニューヨーク本拠の医療機器メーカー、メドトロニックと提携を結んでいた。
年間売上高が1728億ドルのフォックスコンは、過去10年間、製品ラインの多様化と製造拠点のグローバル化を進めてきた。
ジャイロギアは新規のデバイスの製造に向けた独占契約をフォックスコンと締結すると述べている。両社は、ハードやソフト、機械学習や臨床研究の開発のためのR&Dセンターを台湾に設立し、「デジタルヘルスケア製品とアプリケーションの開発を加速させていく」と発表した。
調査会社カウンターポイントの台北のアナリストであるBrady Wangは「フォックスコンはジャイロギアと共同で、AI(人工知能)テクノロジーを用いた、スマート医療デバイスを開発する意向だと考えられる」と述べた。