海外から見えてきた、日本がコロナから学ぶべきこと

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今は退役したスペースシャトル2009年打ち上げ前夜の写真

竹崎:評論家ではなく当事者意識をもつというのは、海外で大切にされている「オーナーシップ」という概念とも重なりますね。SNSも含めると情報が氾濫していていますし、なかには意図的に煽るような報道もあるので、流されないようにしなければいけません。

加藤:いつ発信されたのか、発信者はどこなのかを個々人がしっかり認識し、その上で意思決定していく必要があると思います。私自身の経験からも、同じ情報を繰り返し浴びていると、最初は疑っていたとしても、だんだんと受け入れてしまう自分がいるので。

竹崎:たしかに、ワイドショーのような情報番組は、誰にとってもわかりやすく噛み砕いて説明してくれますが、一方で、大衆に向けて簡略化された情報を日々浴びていると、だんだん自分で考えることをストップしたりしてしまう気もしていて。だから、尚更受け手の意識が重要になってくると、最近感じています。

加藤:情報に流されることに加え、日本は感染者に対する差別や批判が強いというイメージがあり、そこが1番気になっています。スウェーデン人の夫いわく、スウェーデンは文化的に他人とはある程度の距離感があり、相手を批判するという習慣がないのかもしれないと。国民性の違いがあるのかもしれませんが、感染者が差別を受けるというのはあってはいけません。その点でも、まわりに流されることなく考えなくてはいけないと思います。

竹崎:「当たり前」が日々変化し必ずしも「正解」が提示されないなかで、何が正しいのか、何をすべきかも日々変わっています。テレビや新聞、雑誌、ウェブメディア、SNSなど、私たちの周りは情報で溢れていますが、それらに流されることなく、疑ってみたり、自分で確かめたりすることの重要性が高まっているのでしょうね。

加藤尚子◎スウェーデン在住。リンショーピン大学Senior Lecturer(看護科学専攻)、富山大学協力研究員、東京大学届出研究員、日本循環器看護学会代議員等を兼務。2010年3月東京大学大学院医学系研究科成人看護学博士課程修了。共著に『心不全ケア教本 第2版』

松田崇裕◎TBSテレビ報道局社会部長兼解説・専門記者室。ラジオニュース、社会部、警視庁、文部科学省、国土交通省、海上保安庁担当記者を経て外信部NY支局。早稲田大学教育学部社会科学専修にて新聞学専攻。

文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

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