給与や地位はそのまま異動 キャリアの横滑りはすべき?

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キャリアでは、横滑りは上方向ではなく横向きに異動することを指す。そのため、新たな役割に就いても元々の仕事と比べて給与か地位、あるいはその両方が変化しない。

私は読者から、こうした戦略がよいことなのかをどうかを尋ねる質問を受け取った。

人事の横滑りは考えるべきでしょうか? 転職エージェントの大半は、候補者が目指しているような仕事ではなく現在の仕事とほぼ同じようなポジションを紹介してきます。(ジム)

キャリアでは、横滑りも含めた全ての選択肢を考えるのが賢明だ。とはいえ、大半の転職エージェントが横滑りを勧めてくるというジムの指摘についてまずは説明したい。

人材あっせん業者が、採用中の仕事と同じ仕事をした経験がある候補者を標的とするのは事実だ。こうした人材は既に実績があり、これこそ顧客(あるいは雇用主)が求めているものだ。

自分にはもっと大きな役割を担う準備ができている、より高い給与をもらう資格がある、自分は飲み込みが早いので以前やったことがない仕事でも成功できると思っているかもしれないが、雇用主は実績を求めている。雇用主は変わり種ではなく、その役割に最適な人材を探すため人材あっせん業者を雇っているのだ。

転職先候補を探す上で業者から示される求人情報のみを頼りとしているようであれば、必ず、あるいは大半の場合横滑りをすることになるだろう。より大きな役割をこなしたい場合や給与を増やしたい場合、何らかの変化を遂げたい場合は、独自の調査やネットワークを活用してこうした機会を見つける心積もりをしておこう。とはいえ、人材あっせん業者から横滑りの話がきたら折り返すように。

横滑りのメリットには次のようなものがある。

1. ビジネスの異なる分野に触れられる


事業のさまざまな部分について知ることが有益な全般的な管理職になりたい場合、部署をまたいだ横滑りが役に立つ。既に分野横断的に働いていて、別の役割に対する理解を深めたい場合、新たな分野の仕事に就くことには意味がある。拠点を変えて同じ仕事ができる場合は、異なる地域で文化を超えた経験ができるかもしれない。

2. キャリア開発のギャップが埋められる


1日中エクセルを使うデータアナリストなど、現在の仕事では主に1人で働いているとしよう。その場合、チームで働くことが必要とされる部署に横滑りすれば、有益な協働体験が得られるだろう。

また、顧客と全く接点がない役割から顧客対応の仕事に移り、新たな人々と交流して会社の新たな分野に触れるなど、内向きから外向きの仕事に移ることもある。職責が変わることで、新たなスキルや性質を活用できる。
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翻訳・編集=出田静

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