先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「Air Max Graffiti Stores」の事例動画より

今回は2019年のカンヌライオンズから、いかにもナイキらしい、ストリートカルチャーとのコラボレーション施策をご紹介しよう。メディア部門グランプリ受賞作であるブラジル・サンパウロで展開された「Air Max Graffiti Stores(エアマックス・グラフィティストア)」だ。

位置情報テクノロジーを活用して


ナイキはもともとストリートカルチャーと親和性が高い。そんななかナイキには、看板商品エアマックスの新製品の人気を高め、EコマースのサイトであるNIKE.COMへアクセスする人を増やしたいという課題があった。

一方、サンパウロの街は、通りの壁に落書きされる「グラフィティアート」が問題視されていた。サンパウロは世界的にもグラフィティアートの街として有名で、ファンには人気が高いものの、反対派からは街の景観を損ねるとして悪者扱い。州知事は、もはや戦争状態だとして、何百ものグラフィティアートを消し去るという挙に出ていた。

そこでナイキが行ったのは、まだ消されていないグラフィティアートの描き手であるアーティストに依頼して、自らの絵の足元にエアマックスの新製品を描き足してもらうことだった。


「NIKE AIR MAX GRAFFITI STORES IN SAO PAUL」

ひと昔前であれば、この事例はいわゆる単なるイメージアップ施策で終わっただろう。しかし、テクノロジーの進歩は、具体的なセールスにまで結びつけることを可能にした。デジタル施策と組み合わせて、限定先行販売にまで結びつけたのだ。

位置情報テクノロジーを活用し、当該のグラフィティアートの前に行き、そのリアルな場所からしか限定先行購入サイトにアクセスできないようにした。つまり、壁に落書きされたグラフィティアートを、商品の「売り場」へと変えてしまったのだ。

結果として、グラフィティアートの前には、多くの若者がスマートフォンを手に殺到し、この施策は大きな話題となった。数字としても、NIKE.COMへのアクセス者数が22%増え、エアマックスの売上は32%増加したという。

文=佐藤達郎

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ