世界と日本の難民・移民問題


このような研究機関や国際機関で働く人は、専門分野で豊かな知識や経験を持ち、多くの場合は博士号、最低でも修士号を1つはもち、英語のみならず複数の外国語を操る人がほとんどです。そのようなバックグラウンドを持ち自国外で活躍する人のうち、日本人に限って女性の割合が高いという傾向がみられるのはなぜでしょうか。

他国と比べてそのような女性が日本国内で活躍できる機会が限られていると推察できると考えます。日本人女性自身の資質や能力、主体性の問題というよりは、日本社会の構造上の問題かもしれない、と仮定することはできそうです。

「多様な意見を出し合う場」のはずが…


私自身、政府のとある委員を務めていた際に面白い体験をしました。その委員会は、医師や学者、弁護士、NPO関係者など多様なバックグラウンドを持つ方々で構成されていて、私は国際機関の代表として参加していました。少なくとも当時は若手女性である委員は私だけでした。

ある時気が付いたのですが、委員の一人で年配の男性が普段はずっと黙っていらっしゃるのに、私が発言した時だけ必ずすぐに真っ向から反論され、私の意見に他の男性委員が賛同すると静かになられるのです。最初はどうして私に対してだけ反論されるのか分からず少し戸惑ったのですが、おそらく自分よりずっと若い女性が専門的な知見に基づいて自由に発言するのが生理的に受けつけられないのかもしれない、ということが少しずつわかってきました。

私もコトを荒立てたくありませんでしたし、大事だと思って提案した意見は結果的にほぼ全て委員会全体で受け入れられましたので、その委員の態度について何か不平不満を申し立てたことはありません。おそらくご本人にも私を黙らせようという悪意はなく、古い時代の文化に育って、そういう価値観が潜在的に染みついてしまったのでしょう。

ただ今振り返ってみれば、多様な立場に基づいて多様な意見を出し合い聞き合うことが目的の場で、もし自分と異なるバックグラウンドを持つ人の発言を、その中身ではなく、発言者の性別や年齢によってどうしても生理的に受けつけられないのであれば、そのような公的委員会のメンバーとして適任だったのかどうか、少し疑問に感じています。

頭脳流出だけでなく「エストロゲン流出」との揶揄も


このような記事を書くと、疎ましく思われるかもしれません。それを承知で私がこの記事を投稿する理由はただ、日本の将来を憂いているからです。

私は今、首都圏にある国立大学・私立大学数校の学部・大学院で教鞭をとっています。ほぼ全ての講義を英語で行っているため、私の受講生には、高校まで欧米圏で教育を受けたいわゆる「帰国子女」や留学生が多いのですが、「日本は女性蔑視がひどいし、特に女子はお給料も低いから、卒業後は海外に戻ろうかと思っているんです」と半ばあきらめ気味に相談に来る女子学生が少なくありません。

文=橋本直子

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