ワクチン接種という責任について、日本社会に限らず、グローバルの観点でも考えてみます。
世界中の企業や政府がコロナウイルスワクチンの開発を最優先で推進した結果、その他のワクチンや新薬の開発が中断され、開発に大きな遅れが出ています。コロナウイルス以外の感染症で苦しんでいる人々は主に途上国に多く存在しており、その状況を伝えることもできず、なかなか省みられることもなく苦しんでいます。
ワクチンにまつわるデマと事実
次に、コロナウイルスワクチンに関して、またはワクチンの接種について、虚偽や不正確な情報、悪質なデマが広がっており、これらに惑わされないことが重要です。コロナウイルスワクチンについて広まっている根拠のない噂話のいくつかを見ていきましょう。
誤報1:ワクチン接種により、コロナウイルスに感染する可能性がある
事実:ファイザーとBioNTech、モデルナが開発したコロナウイルスワクチンには生きたウイルスは含まれないため、ワクチン接種によりコロナウイルスに感染することはありません。
オックスフォード大学とアストラゼネカが開発したワクチンは、チンパンジーの間で一般的な風邪を引き起こすアデノウイルスから作られています。もちろん、このウイルスは感染を引き起こさないように改変されており、コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝情報を伝達するために使用されているのみです。従って、科学的根拠のない誤報となります。
誤報2:コロナウイルスワクチンは、開発期間があまりにも短いため安全ではない
事実:現在供給されているコロナウイルスワクチンは、動物実験を行った後、何千人もの被験者を対象とした、厳格かつ厳密な臨床試験を完了しています。供給元は、開発に必要な過程を省略することなく、臨床試験の結果により、ワクチンが安全かつ効果的であることが証明されたと主張しています。
また、ワクチンの使用が認められる前に、ファイザーとBioNTech、モデルナ、オックスフォード大学とアストラゼネカそれぞれが開発したワクチンのいずれにおいても、臨床試験データは、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁、英国の医薬品・医療製品規制庁などの各規制当局による厳格な審査を通過しています。
後期臨床試験では、ファイザーとBioNTechのワクチン、モデルナのワクチンともに、コロナウイルス感染の予防において、それぞれ95%と94.1%の有効性を発揮することが確認されました。オックスフォード大学とアストラゼネカのワクチンも、有効性は平均70%であることが示されています。
2020年12月初旬、英国が世界で初めてファイザーとBioNTechのワクチンを承認した際、医薬品・医療製品規制庁の科学者及び臨床医は、臨床試験中に順次利用可能になったデータの「ローリング・レビュー」を実施し、ワクチンを承認するかどうかの評価を迅速に進めることができました。規制庁は、「公衆衛生上の緊急事態を考えると、非常に重要な進め方であり、承認審査における大きな革新である」と述べています。