だがもちろん、良い面ばかりではない。懐疑論や、コンテンツモデレーションが不足しているとの不満が上がっているほか、会話が退屈だったり、聞く価値がなかったりするルームも多い。私の個人的な経験からみた改善点は、ルームでの活動時間の長さとモデレーションだ。
参加者が「このままだと一日が無駄になる」と感じさないようにしなければいけない。また、画面上部が多くのスピーカーで埋め尽くされないようにするため、一度スピーカーとして発言した人はオーディエンスとして画面下部へ戻されるべきだ。各スピーカーには時間制限を課した方が良いかもしれない。
現在のクラブハウス人気は、サブスクリプション・ビジネスモデルの視点から見るべきだ。このビジネスモデルでは、収益の一部をコンテンツクリエイターの誘致に回すことで、サービスの人気維持を図る。エバン・ウィリアムズが立ち上げたオンラインメディア「ミディアム」と似たモデルだ。最終的にこのモデルを採用するのであれば、会員費を嫌ったユーザーが離れていってもサービスを継続できるように、運営には非常に高い成長率が必要となる。
とはいえ、クラブハウスはテック分野で近年まれにみるほどの普及をみせている。今のところ、大手によってコピーされたり買収されたりする動きもない。
今後クラブハウスがどのように進化していくかを見るのは面白いだろう。少なくとも、双方向リアルタイム音声通話分野でのキラー・アプリとなり得るものがSNSの世界に誕生し、新たなコミュニケーション分野を切り開いた。これはラジオの生放送に似ているが、それとは違って参入障壁はない。