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2021.02.09

「SPACキング」と呼ばれる著名投資家に疑惑、米SECが調査開始

チャマス・パリハピティヤ(Ilya S. Savenok / by Getty Images for Berggruen Institute)

元フェイスブック幹部で「SPACキング」と呼ばれる著名投資家のチャマス・パリハピティヤは先日、彼が運営する特別買収目的会社による、アルファベットが出資する企業「クローバー・ヘルス・インベストメンツ」の買収を完了させた。しかし、米証券取引委員会(SEC)がこの買収に関する調査を進めていることが明るみに出た。

2月5日にクローバーが発表した。その前日の4日に、空売り業者のヒンデンブルグリサーチは、クローバーが投資家たちを欺き、司法省からの調査を受けている事実を開示していないと述べていた。

クローバーは5日の当局への報告書の中で、ヒンデンブルグ・リサーチが4日に指摘した疑惑について、SECが調査を開始したとする書簡を受け取ったと述べている。

SECはこの件に関する社内の文書とデータの提出を求めており、ナッシュビル本拠のメディケアプロダイバーのクローバーは、調査に協力すると述べている。クローバーはさらに、同社とパリハピティヤが司法省の調査が進行中であることを認識していたが、いかなる規則にも違反していないと考えていると述べた。

ヒンデンブルグによると、クローバーはキックバックやマーケティング慣行などの、少なくとも12の問題で司法省からの調査を受けており、「この事実は、売上のほぼ全てを米政府のメディケアから得ている事業者が抱える潜在的リスクを提示するものだ」と同社は指摘した。

クローバーの株価は4日に12%下落した。

「クローバー・ヘルスと同社を宣伝するウォール街の有名人のチャマス・パリハピティヤは、クローバーが先月SPACとの合併で上場を果たすまでの期間に行ったビジネスの重要な側面について、投資家たちに誤った認識を与えた」と、ヒンデンブルグは4日に主張した。

ヒンデンブルグは約4ヶ月間、クローバーに対する調査を進め、元従業員や競合他社、業界の専門家らに十数回以上のインタビューを行ったほか、数千ページに及ぶ書類を分析したという。

クローバーは、1月8日にナスダック取引所に上場した。同社その約3ヶ月前に、パリハピティヤが運営する6社のSPACのうちの1社であるSocial Capital Hedosophia Holdings Corp. IIIとの37億ドル(約3890億円)の取引で合併し株式公開を行うと述べていた。

合併発表後の2ヶ月間でCorp. III の株価は60%近く高騰したが、それ以降は30%近い下落となっている。

空売り業者のヒンデンブルグは昨年、EV(電気自動車)メーカーのニコラに関するレポートを発表して、同社を「詐欺」と呼び、当時の会長のトレバー・ミルトンが投資家を騙したと主張した。SECはこの件を調査中だがミルトンはその後辞任し、ニコラと提携を結んでいたGMは12月に資本提携を撤回していた。

編集=上田裕資

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