アップル参入報道に沸く米国EV市場が2021年に節目を迎える理由

キャデラック製EVの「LYRIQ」スーパーボール中に放映されるCMにて(GENERAL MOTORS)

過去10年間で、イーロン・マスク率いるテスラほど、EV(電気自動車)の市場構築に貢献した企業はいない。しかし、噂されるアップルのEV参入や、GMの発表は、EV業界に新時代が到来することを示している。

韓国のニュースサイト「東亜ドットコム」は、アップルが現代自動車傘下の起亜に36億ドルを出資し、EVの製造で提携すると報じた。アップルは、ジョージア州ウェスト・ポイントにある起亜の自動車組立工場で10万台のEVを生産する計画だとされたが2月8日に、現代と起亜は「協議は行っていない」とのコメントを発表した。

このニュースの直後に、アマゾンが「リビアン(Rivian)」が製造したEV配達トラックを使って、ロサンゼルスで配達テストを開始したことを明らかにした。リビアンは、アマゾン向けとは別に、電動のピックアップトラックとSUVを年内に発売する予定だ。

さらに興味深いのは、GMに関するニュースだ。同社は、今年のスーパーボール中に放映するCMに、コメディ俳優ウィル・フェレルを起用した。CMの内容は、フェレルが2022年に発売予定のキャデラック製EVの「LYRIQ」に乗り、1人当たりのEV販売台数で世界トップのノルウェーを米国が追い抜くことに意欲を燃やすというものだ。人口540万人のノルウェーは政府のEV普及政策により、2020年の新車販売台数に占めるEVの割合が54%に達していた。

GMは、EVと自動運転技術に270億ドル(約2.9兆円)を投資することを発表しており、先月は2035年までに全モデルをEV化する方針を明らかにしている。

自動車業界ではフィスカー(Fisker Inc.)やアライバル(Arrival)、トラックメーカーのニコラ(Nikola)、カヌー(Canoo)、Lordstown Motors、バスメーカーのプロテラ(Proterra)ファラデー・フューチャー(Faraday Future)、REEなどのEV企業がSPAC(特別買収目的会社)との合併で上場を果たしたり、その準備を進めており、ルーシッド・モーターズ(Lucid Motors)も後に続くと見られている。

さらに、バイデン政権の誕生もEV業界に大きな影響を与えることが予想される。バイデン大統領はEVの普及を支援し、少なくとも50万台の充電ステーションの建設を宣言した。また、CO2排出量を削減し、クリーンエネルギーに関連する雇用を増やすために、政府機関が購入する車両をガソリン車や軽油車からEVに切り替える方針も明らかにしている。
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編集=上田裕資

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