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ウイルス対策とも戦い続けた彗星ジャパン。その快進撃は、初戦のクロアチア戦から始まった

1月13日から31日までエジプトで開催されたハンドボールの男子世界選手権。新型コロナウイルスのパンデミックの中では、おそらく初めてと思われる世界規模の国際大会に、日本代表「彗星ジャパン」は参加した。1勝もできなかった前回大会から飛躍的な成長を遂げたこのチームには、対戦相手の他にも戦うものがあった。

今大会にチーム広報として同行したカメラマンの田口有史が、快進撃を果たした選手たちの、試合だけではない戦いぶりを手記に起こしてくれた。


世界選手権のために2020年12月14日からナショナルトレーニングセンター(以下、NTC)で合宿に入った選手の面々。コロナ感染対策の観点から、オフの日に外出することもままならない中、エジプトへ向かうための本格的な準備は大晦日に始まった。

エジプト入国には72時間以内のPCR検査の陰性証明が必要なため、NTCで受検。このPCR検査は鼻に綿棒を差し込み検体を採集する鼻咽頭式。コロナに振り回された2020年を締め括るに相応しく、涙目になりながら年を越した。

翌日元旦、めでたく30人全員の選手・スタッフは全員が陰性との報告。とはいえ、大会のバブル生活(*)に向けた準備に入っているため、必勝祈願の初詣もできず、元日も翌2日もNTCで練習をし、まったく新年の気分を味わうこともないまま、2日夜のフライトでエジプトへ飛びたった。

*バブルとは|NBAが2020年に実施した、試合会場と宿泊地一帯をひとつの隔離エリアとして試合を継続する方式。しかしハンドボールの場合は試合会場と宿泊地が広範囲だったため、独自のバブル方式がとられた。

約22時間かけてエジプトに着くと、本格的なバブル生活の始まりである。民間機でのエジプト入りだったが、エジプト世界選手権組織員会と入国管理局の協力のもと、各国の選手とスタッフは、空港内の入国審査、税関を通ることはなく、降機場に用意されたチームバスへ直接乗り込む。タラップのところでパスポートと税関書類、そして陰性証明書を係員に渡すと、ほんの数歩エジプトの地を踏んで、バスに乗り込んだ。

とにかく初めての経験で戸惑う中、バスに乗ってまずはPCR検査。その最中にいきなりバスが発車しそうになるなど、大会組織委員会も我々がエジプト入り第1号のため、段取りを確認しながら準備をしている様子だ。無事に全員の検査が終わると、バスはホテルへ向けて出発。

途中で全員の陰性が伝えられ、安心しながらホテルへ到着すると、広いロビーにソーシャルディスタンスを保って座るように命じられる。何が始まるかと思うと、一人ずつ名前を呼ばれてパスポートを返却され、再びPCR検査場のあるフロアへ数人ずつ向かうように命ぜられた。


短時間で二度の検査。徹底されるのは良いことなのだが合理的ではない。

数人ずつ向かったにも関わらず、ロビーより短い距離でのソーシャルディスタンスで置かれている椅子に座り待機しながら、順番に再度PCR検査を受ける。今回は本物のPCR検査、との説明を受けるが、鼻と喉に綿棒を突っ込まれるのは同じ。この1時間で2回目となる検査の後、それぞれの部屋の鍵を渡され、その日夜遅くに検査結果がでるまで、実質、翌朝までそれぞれの部屋で隔離に突入。その日の昼食と夕食は、部屋に運ばれてきた。

文、写真=田口有史 編集=宇藤智子

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