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翌4日の朝、ポーランドでプレーしている仲間二人も朝食時間に無事に合流。チームみんなが顔を合わせ、いよいよバブル内での世界選手権が始まった。10日に我々の一次リーググループが試合をするアレクサンドリアへ移動するが、それまでの間にエジプトとのテストマッチも2試合組まれていて、バブル内での生活、調整方に慣れて大会に挑みたい。

大会の「コロナ感染プロトコル」によると、試合の前日にPCR検査が義務付けられている。5日テストマッチが組まれていた我々は、朝食後、24時間以内で3度目のPCR検査を受けることになった。よくいえば厳重。正直なところ、意味があるのかな?と、思う頻度であるが、安全に大会を進めるためと言われたら仕方がない。

2度のテストマッチを終えた翌日。我々はようやくのオフ日となった。オフとはいえ自由に外出できるわけではない。首脳陣の計らいで、ピラミッド見学のバスツアーとなった。

出発時に言われていたのは、とにかく、バスの中からピラミッドを見るだけ。しかし現地に行ったら、せめて写真くらいは撮りたい。バスの中で待機すること30分以上。チーム係がバスの外に出て、現地警察などと交渉。

その時点で、エジプト人チーム係はバブルの外に出てしまっているのではないか!と、色々と疑問に思うところはありながら、ピラミッドの展望台のようなところに、バスを衝立のようにしてスペースを作り、さらにマスクを外すことも許されなかったが、数分だけエジプトの地を踏むことができ、いい気分転換となった。

それから数日カイロで最終調整をしたのち、一次リーグの行われるアレクサンドリアへ、バブル内ホテルから他のバブル内ホテルへ、3時間半かけて移動バブル空間のチームバスにて3時間半かけて移動した。

新たなホテルの敷地内にはプールが幾つもある上にプライベートビーチまである。バブルの中とはいえ部屋から地中海が一望でき、ビーチまでいつでも散歩が可能という環境にテンションが上がるものの、アレクサンドリアで試合をする8カ国が同じところに泊まるとあって、コロナ対策に対していくつかの不安を抱えることになる。


エリア一帯が隔離される意味のバブル。安心感は感じられる。

例えば食事会場。

各国、専用の部屋をひとつずつ与えられるというのが、国際ハンドボール連盟の感染対策プロトコルから得た我々の認識であった。しかし、はじめに食事の会場に向かうと、テーブルにはベラルーシの国旗がおかれている机がある。入り口は違うものの、中に入ると一緒。

各国専用のテーブルが準備されているだけという状況に、大会組織委員会と我々をつなぐエジプト人チーム係に改善をお願いするも、次の食事の際に変わったのは、国旗がベラルーシからクロアチアになっただけ。同グループの初戦の相手と同じ食事会場を共有することになった。

また、チームバスも、初戦の数日前に突然違っていた日があった。チーム係の説明としては、「ガソリンがなくなって、入れにいく時間がなかった」と。1日に1度、練習場または試合会場にしか向かわないバスで、ガソリンを入れる時間が無いというのは説明が立たず、また、誰が使ったかわからないバスでは感染対策に不安を感じた。

さらに、入国時の検査で陽性者が出て、ホテル内に隔離されているという情報も流れてくると、試合前日と言われていたPCR検査を、試合終了後にも受けるとのルール改正も通達されるなど、大会直前まで、(おおらかな)エジプト人気質への順応と、独自の厳しさでの感染対策をもって、気を引き締めて試合に挑んで行くことになった。

文、写真=田口有史 編集=宇藤智子

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