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2021.02.09 06:30

脚光を浴びる屋内農場、話題のアップハーベストが株式公開

Getty Images

屋内農場スタートアップ「アップハーベスト」は、農産物をまだひとつも生産していなかった2020年9月に、特別買収目的会社(SPAC)との逆さ合併で株式を公開すると発表した。

その時点で、同社の評価額は10億ドル以上とされていた。そして2020年2月1日に、ついに株式が公開された。

60エーカー(約0.24平方キロメートル)の屋内農場を持つアップハーベストは、1月半ばに初出荷にこぎつけた。オーガニック栽培された房どりトマトが、初期投資家である有名料理研究家のマーサ・スチュワートや、ベストセラー作家J・D・ヴァンスに届けられたほか、同社の農産物を真っ先に販売する小売店であるウォルマートやクローガー、メイヤー、パブリックスへと配送された。

通常なら、初収穫はそれほど大きな節目にはならない。しかし、一般市場に初めて飛び込もうとしているアップハーベストにとっては、数少ない、目に見える尺度のひとつだ。

同社の話題性が目安になるとすれば、株価はこれから急騰するだろう。合併相手である特別買収目的会社(SPAC、別名ブランク・チェック・カンパニー)、ノーバス・キャピタル(Novus Capital Corp.)の株価は、2020年9月に逆さ合併が初めて発表されて以来、130%上昇した。

アップハーベストのIPOを目前にした1月上旬には、ノーバス・キャピタルは過去最高の25ドル前後で取引され、同社の予想時価総額はおよそ25億ドルに上っていた。

投資家たちは、投資先企業の謳い文句に、わずかながらでも「持続可能性」が含まれていることをしきりに望んでいる。その点、ケンタッキー州モアヘッドを拠点とするアップハーベストは十分すぎるほどだ。同社の屋内農場は、伝統農業と比べると使用する水量が90%少なく、そのすべては雨水を再利用してまかなわれている。同社は2022年、ケンタッキー州内に屋内農場を新たに2カ所新設する予定だ。

とはいえ、アップハーベストには証明すべきことがたくさんある。ジョナサン・ウェブ(Jonathan Webb)最高経営責任者(CEO)にとってはもちろん、引き続き経験不足が悩みのタネだ。太陽光発電業界で20年の実績を積んだウェブによると、株式公開を急いだのは、長期的な目標を達成するうえで必要だったからだという。同社はこれまで、トマト生産数や出荷数を公表していない。明らかになっているのは、ひとつめの屋内農場で72万苗を栽培し、トマト生産量の目標は年間4500万ポンド(約2万400トン)ということだけだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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