民主・共和両党の支持者を含む法律家たちが署名、米紙ニューヨーク・タイムズが掲載したこの書簡には、保守派の法律家団体「フェデラリスト協会」の創設者の1人、スティーブン・カラブレージも名を連ねている。
トランプの弁護団は、(言論の自由などを保障する)憲法修正第1条を盾に、前大統領の無罪を主張するとみられている。上院に提出した審理前準備書面で、「選挙に不正があった」とするトランプの発言は憲法修正第1条に基づき法的に保護されることから、これによって前大統領を有罪と判断することはできないと述べている。
だが、書簡に署名した法律家たちは、弁護団のこの見解は誤りであり、トランプを無罪とする十分な根拠にはならないと指摘。憲法修正第1条は上院がトランプ前大統領を有罪とし、将来において公職に就く資格をはく奪する妨げになるものではないとの見方を示している。
それは、弾劾裁判はトランプの行動が違法だったかどうかではなく、(その地位にふさわしくない)不正行為があったかどうかのみを判断するものであるためだ。また、仮にトランプの発言が修正第1条によって法的に保護されたとしても、就任宣誓に違反したと考えることが可能との見解だ。
書簡はさらに、「選挙結果を覆そう」というトランプの呼び掛けは、実際には法的に保護されるものではないとする「強力な論拠」があると述べている。この発言は支持者の暴力を扇動しており、混雑した劇場で「火事だ!」と叫ぶこと(それによって混乱を招くこと)が言論の自由によって保護されないことと同じだという。
トランプの弁護団はそのほか、前大統領がすでに退任していることを理由として、有罪にはできないと訴えている。だが、これについてはすでに、法学者ら150人が別の書簡を公表。退任後でも弾劾裁判を行い、有罪とすることは可能との見方を示している。
トランプは1月6日に起きた支持者による連邦議会議事堂での暴動を扇動したとして、米史上初めて2回弾劾される大統領となった。ただ、上院がトランプに有罪評決を下すには少なくとも17人の共和党議員の賛成票が必要となることから、有罪となる可能性は低いとみられている。