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2021.02.08

1年間、社員と向き合い続け「再発見」されたコアバリュー。今こそ、経営にデザイン思考を


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デザイン経営という言葉をご存知だろうか。

企業の価値観や意志をデザインし、ブランド価値を生むことでイノベーションを実現することと、経済産業省と特許庁が2018年に発表した「デザイン経営宣言」の中で定義されている。

宣言発表後こそは注目を集め、一種のバズワードとなったものの、デザイン経営を実践している企業は数少ない。理由は明確、実行できるデザイナー、CDO(Chief Design Officer)が足りていないという現状があるからだ。

ここ、キュービックには、上場企業を含む2社で経験した、篠原健というCDOがいる。

2020年9月、15期目を迎えた同社はCI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新、コアバリューに「ヒト・ファースト」、ミッションに「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」を掲げた。この背景には篠原だけでなく、社長室経験をもつ平山直子の尽力があった。

プロジェクトはどのように進められたのか。なぜ同社はデザイン経営を実践するのか。デザイン経営に対する2人の考え方、プロジェクトの推移から紐解いていく。

デザイナーの仕事とは


篠原は新卒で映画製作会社に入社、広告代理店に転職してからは企画からデザイン、アートディレクションを経験した。

次第に自身でもサービス開発を手掛けたいと考えるようになり、クリエイティブ領域の部長職でドリコムに入社。

「デザインの力は、経営にも活かせるはず」

そう信じた篠原は入社時から経営に携わることを希望していた。経営陣の理解も得られたことから、のちにデザイナーから執行役員に昇格。

その後は、2020年7月にJASDAQ市場へ新規上場を果たしたSpeeeや、ネクストビートに移籍。CDOとしてデザイン経営を本格的に実践していく中で、その役割が明確になったという。

「『デザイナーの仕事はCI・VI(ビジュアル・アイデンティティ)刷新においてロゴやコーポレートグッズを作るだけ』と思われがちですが、それは違う。

企業の過去や現在をみつめ、未来を描く。CIとしてのミッション・ビジョンづくりから携わることはもちろんのこと、それらが社内外のステークホルダーに対して適切にコミュニケーションされているかを確かめ続けなければいけません。

デザインされたコミュニケーションを実践することによって、展開するサービスが多くなったとしても『キュービック』のイメージに一貫性を持たせ続け、円滑な企業活動を実現する。そこまで担うのがCDOの役割だと僕は思うのです」(篠原)

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キュービックCDO 篠原健

2019年3月、キュービック代表である世一英仁は、篠原をキュービックへ迎え入れた。それは、これまでの経験とデザイン経営に投資を行なう、という明確なメッセージでもあった。

得意な言語化が裏目に。増築を繰り返し、複雑化していたCI


篠原がCDOに就任するより以前。まだ数十人の規模であった2012年頃から、キュービックでは、企業としての価値観を整理する必要に迫られていた。

エクスペリエンスデザインセンター・ブランドデザインチームとピープルエクスペリエンスオフィス・PRチーム兼務の平山が振り返る。

「中小企業だったキュービックを、ベンチャー企業に作り変えようと決意した頃でした。

それまで十数人の組織だった私たちは、代表との距離も非常に近く、仲間同士の対話も簡単。特別なツールがなくとも同じ空間で働いているだけで、組織の目指す方向性も価値観も自然と共有できていました。しかしいざ非連続な成長を志向し、組織の急拡大がはじまると、思いもよらぬさまざまな壁にぶつかりました。その壁の多くが組織として共通の目的や目標、判断軸を持てていないことから生じていると気づき、これ以上CIなしに組織を束ねていくことは難しいとわかったのです。

こうして2015年には自分たちが大事にしてきたもの、自分たちのありたい姿、それらが少しずつ、手探りの状態で言語化され始めました」(平山)

試行錯誤の末、創業10周年のタイミングで経営理念、ミッション、9つのクレドが決まった。

やっとの思いで言語化できたのもつかの間、組織の成長がCIを追い越してしまうという事態が発生。どうにか組織とCIを重ね続けようと、あらゆるメンバーがもがいた。9つのクレドの中身を一部入れ替えた。

新たにビジョンも作った。ビジョンにあわせてクレドを刷新、数も4つまで減らしたが、クレドの数を減らすと“らしさ”が失われかけたので、補うようにカルチャーコードというものも作成。

このように増築を繰り返してきたキュービックのCIは、気づけば随分と複雑化していた。そこで改めて上流から見直し、CIを結い直そうと立ち上がったプロジェクトが『ReBORN PJ(リボーンプロジェクト)』。代表の世一と平山が中心となり、全社員を巻き込みつつ動き出していた。そこへ篠原がジョインする形でCIの刷新が始まった。

入社したばかりの篠原はすぐにその課題を感じ取ったと話す。

「CIの構造がとにかく複雑になっていました。想いも言葉も大切にする組織で、必要に迫られれば直ちに考えを言語化するという良い文化があった反面、言葉が増えすぎて統一的なコミュニケーションを実践しにくいという課題があったのです」(篠原)

企業としての価値観を再構築し、『ReBORN PJ』を加速させるためのプロを待ち望んでいたキュービックにとって、まさしく篠原は待ち望まれたCDOであった。マーケターである代表の世一はどちらかというと左脳タイプで、デザイナーである篠原は右脳タイプ。キュービックの頭脳がようやく整ってきたと、平山は感じたという。

1年かけて戻ってきた、コアバリューとしての「ヒト・ファースト」


篠原の参画はスムーズに進んだものの、CI/VI刷新には産みの苦しみが伴った。特に苦戦したのは「コアバリュー」だったと篠原は語る。

「コアバリューが一番柱となる言葉であり、会社の背骨を作っていくイメージです。コアバリューになりそうなキーワードを出して、そこから選んでいくプロセスが本当に悩ましく......。自分の中に仮説はあったのですが、その仮説を丁寧に検証しなければいけない。みんなが納得できるかどうかが大事だと思ったんです」(篠原)

そこで『ReBORN PJ』において最も力を入れたのが、キュービックで働く全ての仲間に対するヒアリングだった。

経営陣はもちろん、創業初期メンバーとの座談会から、年次が浅い社員との面談、アジェンダを知らせず会議室に招集するゲリラインタビューなど、あらゆるスタイルのインタビューを実施することで、社員の会社に対するインサイトを丁寧に一つひとつ拾いあげていった。気がつけば、ヒアリングだけで12ヶ月を費やしていた。

「何に燃えて、何が楽しくて働いているのか、ヒアリングの中でその源泉に触れるようにしていました。古株社員からはキュービックに居続ける理由、そして今も変わらずに大事にしている考えを引き出そうとしたのです」(篠原)

ヒアリングと整理を繰り返す中で、篠原の想定していなかった結論に至った。これまでのコアバリューと同じ、「ヒト・ファースト」に戻ってきたのだ。篠原が苦笑いをしながら、こう口を開いた。

「正直なところ、僕はもともとコアバリューを変えたかったんです。『ヒト・ファースト』だと、『ヒトに寄り添う』という優しいニュアンスばかりが強調されてしまうから。

インターネットユーザーや一緒に働くメンバーの人生に関わるという重みある仕事に携わる中で、ヒトに向き合う苦悩や泥臭さを許容しつつ、それでも本気で向き合いきろうという僕らの覚悟が正しく伝わらないのではないか。また、抽象度が高い言葉なので、社員それぞれで解釈が大きく異なってしまうのではないか。そんな心配があったのです。

でも、ヒアリングを重ねていく中で僕の心配は無用かもしれないと気づきはじめました。『ヒト・ファースト』についての組織の理解や解釈は想像以上に揃っていた。しかもメンバー一人ひとりに深く根付いていました。12ヶ月も遠回りして、『ヒト・ファースト』に戻ってきたのは印象的な体験でしたね」(篠原)

篠原がコアバリューを変えようとしていたことを、平山は感じとっていた。

「コアバリューを変えることを前提にヒアリングをしていた篠原に、抵抗を感じなかったか?」と訊くと、平山は首を横に振った。

「変える意気込みで挑まないと、フラットに見直すことができないと思っていたので、篠原のスタンスは正しいと思っています。

『ヒト・ファースト』というコアバリューがこんなにも組織に定着していたことは、私にとっても少し意外な発見でした。正直、嬉しかったです」(平山)

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コーポレートデザイナー 平山直子

「デザイン経営」のロールモデルへ


CIを決めることは、「デザイン経営」の第一歩だ。

社内だけでなく、ユーザーやクライアントといった社外ともコミュニケーションするためのツールとなるVIを同時に刷新。この新CIと新VIによって社員のビヘイビア(振る舞い)に一貫性を持たせ、デザインされたコミュニケーションを目指していく。

こうした「デザイン経営」に対する理解はCDOの篠原だけでなく、平山にもある。

「人を中心にプロダクトやブランドをデザインし、企業が提供する体験の質を上げていくことが、デザイン経営の本質です。そう考えると、キュービックの新しいミッションである『インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。』とは、まさにデザイン経営に挑戦していくことだと思っています」(平山)

こう語る平山に対し、篠原は「彼女はすでに『デザイナー』だ」と断言する。目的のために何かを設計し、コミュニケーションをとりながら形にできる人を、篠原は「デザイナー」と定義しているからだ。

社内に「デザイナー」を増やしていき、「デザイン経営」のロールモデルを目指していくこと、それが篠原のCDOとしてのミッションであり、キュービックの目標でもある。

「CDOには、日本のデザイン業界全体を良くしていきたいという熱意も求められています。自社のことだけでなく、キュービックが『デザイン経営』のロールモデルになること、それによって日本経済を元気にすることにつなげていきたい」(篠原)

キュービックと、篠原の実践する「デザイン経営」が出会ったことで、15期目の節目に行われたCI/VI刷新はより大きな可能性を秘めたプロジェクトになった。「デザイン経営」にチャレンジする企業は、キュービックの今後から目が離せないだろう。


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