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稲田にとって、いいカルチャーとは、この「ミッションに向かって一丸となって前に進んでいる状態」を指すという。そしてカルチャーは「庭」だという。

「建築物は一度作ったら、長く壊れません。ただ、庭は、放っておくと雑草が生えてくる。雑草を刈ったり、水をあげたり、土をよくしたり、色々なことを積み重ねる必要がある。僕らはいつもカルチャーをガーデニングしようと言っています。創業時にメンバーが議論して、最初にミッションを策定した『ミッション・ドリブン・カンパニー』なので、ずっとカルチャーを大事にして経営をしてきました」

atama plusは2017年4月創業で、社員数は130名を超える。現在、同社は、1兆円市場と言われる国内塾市場の中で、上位100社の学習塾のうち3割以上が導入済み。導入教室も、1年で倍の2100教室を突破した。一部教室から使用し、次の期には、大きく利用者数や教科が増加するという事例が増えているという。「新年度を迎える4月には、複数の学習塾に全生徒利用いただきます」(稲田)。

また、プロダクトの進化はそれだけに止まらない。同社は20年7月、駿台予備学校などを運営する学校法人駿河台学園と共同で、高校3年生と浪人生向けのオンライン模試「駿台atama+共通テスト模試」をスタートさせた。これまでの模試が偏差値、順位などの実力判定が目的で、受験後の学習につなげられていないことへの問題意識から、受験直後に結果を確認できる「その場フィードバック」、弱点を分析する「学習レコメンド」、模試の結果を最短の学習につなげる「パーソナルカリキュラム」といった機能により、模試を最も効率のよい復習につなげるプロダクトにした。初回で2.8万人が受験した。

さらに、atama plusは20年12月、学校法人・立命館とAIや学習データを活用した高大接続、入試企画の検討に関わる連携協定を締結。立命館大学に進学する付属校生を対象に「atama+」を活用した大学前基礎学力定着を開始し、今年から学習履歴を踏まえた新しい入試やオンライン入試プラットフォームの開発検討に取り組んでいく。「atama+」について、塾・予備校を越えて新しい領域でも仕掛けていく。

「いまはスタートラインに立ったという印象です。目指したいことの0.1%くらいしか実現できていませんから。僕らが掲げているミッションは、教育改革をしようと言っているわけではないんです。教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)にとどまらず、教育を通して、社会を変えていきたいと言っています。

何万人、何十万人に対していい教育を届けた場合、届けた生徒たちはハッピーになると思いますが、社会は変わらない。社会を変えようと思ったら、何億人という生徒にいい教育を届けないといけないと思っています。現在は戦術として、国内の小中高生向けの塾という市場を限定していますが、国内の他の市場や国外市場にも提供したい。まだはじまったばかりです」


稲田大輔◎atama plus代表取締役。同社は2017年4月創業。教育を一人ひとりに最適化するAI教材「atama+」を塾・予備校にSaaSモデルで展開。従業員数は130名。米DCMベンチャーズ、ジャフコからの累計資金調達額は約20億円。

文=山本智之 写真=帆足宗弘(AVGVST)

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