このデバイスは、サンディエゴを拠点とするスタートアップ「Netradyne」のもので、ドライバーが交通ルールを無視したり、運転中にスマホを使用したり、危険な行為を行った場合にAIで検知し、警告を発するとアマゾンのシニアマネージャーのKarolina Haraldsdottirは、Vimeoで公開したビデオメッセージで述べた。
Haraldsdottirによると、映像はアマゾン社内のチームとドライバーを管理する外部の企業が、トレーニングと盗難や損害が発生した場合の調査のために使用する予定という。このデバイスは、安全意識を高める目的で導入されるが、事故などの問題が発生した場合、ドライバーがその責任を問われることを防ぐ目的でも使用されるとHaraldsdottirは述べている。
アマゾンの巨大な配送ネットワークを支えるドライバーの多くは、デリバリー・サービス・プロバイダーと呼ばれるサードパーティを通じて、業務を受託している。アマゾンは長年、事故が発生した場合の責任を回避するための施策を進めてきた。労働団体は以前から、アマゾンの倉庫労働者や配送ドライバーらの労働環境を批判しており、厳しすぎるノルマが安全性の低下につながっていると主張してきた。
アマゾンのドライバーらはRedditなどの掲示板で、アマゾンの姿勢に反発し、今回のカメラが、問題の根本的な解決にはつながらない、「マイクロマネジメント」戦略だと非難した。
ドライバーらは、別の問題でもアマゾンへ怒りの声をあげている。連邦取引委員会(FTC)は2月2日、アマゾンが2016年から2019年までの期間、Amazon Flexのドライバーに支払うべきチップを無断で天引きしていた問題で、6170万ドル(約64億8000万円)の制裁金を支払うことに同意したと発表した。
悪質な運転行為を減らし、保険料を引き下げるためのドライバーの監視カメラは近年、物流業界では一般的になりつつある。テック関連のニュースサイトOneZeroによると、この分野で最も有名な企業とされるLytxは、世界の65万台の商用トラックに監視カメラを搭載済みという。