今回の資金調達は、標準的な住宅ローンを組めない人々をターゲットとするDivvy Homesのビジネスが当初、パンデミック後の景気悪化を受けて苦戦すると思われたにも関わらず、実現した。
Divvyのサービスを使えば、住宅の購入希望者は、家の価格のわずか1%か2%の金額を前払いするだけで、その家に住むことが可能になる。
「パンデミックの発生当初、私の反応は非常に単純なものだった。失業率が上昇し、人々は住宅ローンの支払いが出来なくなり、家の価格も下がるだろうと考えた」と、サンフランシスコ本拠のDivvyの共同創業者でCEOのアデナ・ヘフェッツ(34)は話す。
しかし、実際にはその逆のことが起こった。何百万人ものアメリカ人が自宅に閉じ込められる中で、記録的な低金利により、ローンの借り換えや家の新規購入が急増したのだ。CNBCの記事によると、今年1月の住宅ローンの借り換えの申込件数は、1年前との比較で87%も伸びているという。
Divvy は、最大2%の前払い金のみで住宅を入手できるシステムで、幅広い顧客層にアピールする。買い手はその後、市場の平均よりも割高な家賃を支払い、Divvyは支払い額の約4分の1を将来の住宅ローンの頭金用に確保しておく。買い手の多くは支払いの途中で住宅ローンの審査に合格し、3年後には物件所有権の最大10%を保有することになる。買い手は途中で家から退去し、支払った金額をキャッシュアウトすることも可能だ。
Divvyは現在、16の市場で事業を展開中で、今回の調達資金を用いて、年末までには20の市場に拡大する計画だ。ヘフェッツによると、同社の年間売上は2000万ドルを超えているという。
ヘフェッツは同社の評価額については回答を避けたが、PitchBookのデータで、Divvyは2019年6月時点で1億6300万ドルの評価を得ていた。Divvyの競合には、Home PartnersやDream Americaなどが挙げられる。
DivvyのシリーズCを主導したタイガーグローバルのパートナー、スコット・シュライファーは「彼らは今後10年間で、10万世帯以上の新たな住宅所有者たちを支援できると信じている」と述べた。
高金利で消費者を食い物にするとの批判
会社が成長するにつれ、ヘフェッツはDivvy が他の多くの同業者とは異なることを証明しなければならない。この分野の企業には、低クオリティな家を高金利で提供し、消費者を食い物にしているとの批判もある。一部のメディアはDivvyに対しても、懐疑的だ。
「私自身もこの業界の評判が悪いのは認識しており、それは当然だとも思う」と、コーネル大学とスタンフォード大学で学位を取得し、スクエアとゴールドマンサックスに勤務歴を持つヘフェッツは話す。
彼女によると、Divvy は顧客らに望ましくない住宅を割り当てるのではなく、自分の家を選択させている点で、競合企業とは異なっており、それは実際に顧客の満足度向上につながっているという。
「私たちはこの会社が本物であることを証明し、競合と差別化していかなれればならない」と彼女は話した。