ジャシーは現在、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のCEOを務めている。アマゾンのクラウドストレージ部門であるAWSは、パンデミックの影響で需要が急増し、直近の四半期ではアマゾンの営業利益の67%を占めている。
ジャシーの指揮下で、AWSは1000億ドル規模のクラウドコンピューティング市場において、グーグルやマイクロソフトを打ち負かし、Zoomのような大口顧客を獲得し、ほぼ無敵の存在感を放つようになった。
1997年にアマゾンに入社したジャシーは、ベゾスの技術アシスタントを務めた後、2006年のAWSの立ち上げに関与した。
ビジネス・インサイダーが報じたところによると、ジャシーはベゾスの側近であり、1月の米議事堂襲撃事件の後に、トランプ支持者らが集うSNSアプリ「Parler」をAWSから追放する決定に関与したとされている。
ジャシーは、論争から逃げない人物とされている。アマゾンが警察に「AI監視ツール」を提供しているとして、人権団体から非難された際に、彼はAWSの顔認識ソフトウェアを擁護した。
アマゾンは2019年、米国防総省が推進する「共同防衛インフラ事業(JEDI)」に関する入札で、マイクロソフトに敗れ、総額100億ドル(約1兆円)に及ぶ受注を奪われたが、その際にジャシーは、政府の決定の背後には「トランプ政権のアマゾンに対する嫌悪」があると公言していた。
「AWSとジャシーはゲートキーパーだ」とウェドブッシュ証券のアナリスト、Dan Ivesはインサイダーに語った。「ジャシーは、クラウドやテック業界だけでなく世界のビジネス界で最も強力なリーダーの一人だ」
ベゾスは2月2日、CEOから退任すると宣言した。彼は今後、ホームレス問題の改善に取り組む組織や、低所得者層向けの無料保育の建設を支援する基金の「The Day One Fund」や、気候変動の取り組みを支援する「ベゾス地球基金(Bezos Earth Fund)」にフォーカスすると述べている。
世界一の富豪であるベゾスは、宇宙開発企業のブルー・オリジンと2013年に買収したワシントン・ポストにも、より多くの時間を費やしたいと語った。
昨年8月に、ベゾスのもう一人の側近であるジェフ・ウィルケが退任した後、ワシントン・ポストはジャッシーが「確実な後継者」だと宣言した。ウィルケはアマゾンのコンシューマービジネス部門を統括し、ベゾスの後任として有力視されていた。